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復讐の連鎖
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「なんだって!
それじゃあ、やはりルークが…!?」
「それは…わからんが……」
暗い部屋の中に、いやな沈黙が流れた。
二人が町の者から聞きこんだ話によると、教会が燃えたのはアズラエルがリュタンの村を訪ねた数日後のことだという。
現在、教会にはサミュエルという牧師が常駐していたが、物音に気付き目が覚めた時にはあたりは一面火の海で、命からがら逃げ出したらしい。
教会には火の気がなかったことから、まず放火に間違いないだろうというのが皆の推測だった。
「最悪だ…
ルークの奴…リュタンの村だけじゃ飽き足らず、ここにまで火をつけるとは…」
ランディの声は小さく今にも消え入りそうなものだった。
家の中にいることを悟られないように、三人は、蝋燭だけを灯した薄暗い部屋にいた。
重苦しい空気の中、蝋燭の小さな炎はゆらゆらと揺らめく…
「奴らの憎しみはまだ全然薄らいではなかったってことか…」
トレルの声もとても落胆したものだった。
「トレル、アズラエル…俺、一体、どうしたら良いんだろう?
なんだか…もうすべてに自信がなくなって…」
「ランディ、結論を急ぐな…
私は少し疑問に感じることがあるんだ。」
「疑問…?
アズラエル…悪いが、この町には教会に火を点けようなんて考える奴はいない…
残念だが、これはやはり……」
「ならば、なぜすぐに火を点けなかったんだ?」
「えっ…!?」
トレルは小首を傾げ、アズラエルの顔をみつめる。
「ラグラの森からここへは目と鼻の先じゃないか。
なぜすぐにやらなかったんだ?
火事が起こった頃に、この町で見知らぬ者を見たという情報もない。
その間、どこに身を隠してたっていうんだ?」
「それは……」
そう言われると、確かにアズラエルの疑問はもっともだとトレルには思えた。
教会に火を点けるなら、リュタンの町を出て数日以内にやる方が理に適っている。
なぜ、そんなにも日にちを空ける必要があったのか、その理由は見当もつかない。
「なんだって!
それじゃあ、やはりルークが…!?」
「それは…わからんが……」
暗い部屋の中に、いやな沈黙が流れた。
二人が町の者から聞きこんだ話によると、教会が燃えたのはアズラエルがリュタンの村を訪ねた数日後のことだという。
現在、教会にはサミュエルという牧師が常駐していたが、物音に気付き目が覚めた時にはあたりは一面火の海で、命からがら逃げ出したらしい。
教会には火の気がなかったことから、まず放火に間違いないだろうというのが皆の推測だった。
「最悪だ…
ルークの奴…リュタンの村だけじゃ飽き足らず、ここにまで火をつけるとは…」
ランディの声は小さく今にも消え入りそうなものだった。
家の中にいることを悟られないように、三人は、蝋燭だけを灯した薄暗い部屋にいた。
重苦しい空気の中、蝋燭の小さな炎はゆらゆらと揺らめく…
「奴らの憎しみはまだ全然薄らいではなかったってことか…」
トレルの声もとても落胆したものだった。
「トレル、アズラエル…俺、一体、どうしたら良いんだろう?
なんだか…もうすべてに自信がなくなって…」
「ランディ、結論を急ぐな…
私は少し疑問に感じることがあるんだ。」
「疑問…?
アズラエル…悪いが、この町には教会に火を点けようなんて考える奴はいない…
残念だが、これはやはり……」
「ならば、なぜすぐに火を点けなかったんだ?」
「えっ…!?」
トレルは小首を傾げ、アズラエルの顔をみつめる。
「ラグラの森からここへは目と鼻の先じゃないか。
なぜすぐにやらなかったんだ?
火事が起こった頃に、この町で見知らぬ者を見たという情報もない。
その間、どこに身を隠してたっていうんだ?」
「それは……」
そう言われると、確かにアズラエルの疑問はもっともだとトレルには思えた。
教会に火を点けるなら、リュタンの町を出て数日以内にやる方が理に適っている。
なぜ、そんなにも日にちを空ける必要があったのか、その理由は見当もつかない。
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