深淵に眠る十字架 The second

ルカ(聖夜月ルカ)

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復讐の連鎖

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「それを言うなら、君の方が別人だったぞ。
なんせ、あの時の君は人間ではなかったのだからな。」

トレルは、一瞬、動きを止め、やがて、俯いて肩を震わせ笑いを噛み殺す。



 「……その通りだ…すっかり忘れてた!
あの時は本当に酷い目にあった…
宝石に閉じ込められ、猫になり、そしてインギー…
 ……あの時程、自分の青臭さを感じた事はなかったぜ。」

 「……いや…私もなぜあんなにもムキになったのか……今となってはわからない…
あの頃の私は…誰かと一緒に時を過ごすことさえなく…
心の中は常に大きな怒りと憎しみで満ちていた。
 私のことを知る者は、皆、私を恐れ、私の顔色をうかがっては媚びへつらう…
 ……君と知り合うまで、私は人のために何かをしたことなどなかったように思う…」

 「おかしな言い方をするんだな。
まるで他人事みたいに…」

アズラエルの灰色の瞳が、トレルをじっと見据える。



 「……トレル……
私は……昔の記憶がないのだ。」

 「記憶が…ない…?
どういうことなんだ?」


アズラエルは、息を吐き小さく微笑んだ。



 「すまん…つまらないことを言ってしまったな。
 忘れてくれ。
……そんなことよりも、これからどうする?
 火事の頃、あの村でよそ者を見たという話はやはりなかった。
だが、その後の手掛かりになりそうなものもない。
どこから探す?」

 「そうだな…今更サーリックに行った所できっと手掛かりはないだろう。
ユフィルのことにしても一切見た者がいないんだからな。
 奴ら、相当用心深くやったのかもしれん…」

 「用心深い……か…」

その言葉に、アズラエルは奇妙な違和感を感じた。



 「どうかしたのか?」

 「いや、なんでもない。」

 「アズラエル…おかしなことを言うようだが、奴らのことを探すのは誰かに任せて、俺に悪魔の力についてもっと詳しく教えてもらえないだろうか?」

 「悪魔の力のこと…?」

トレルは、今回のことで自分自身を責め、悪魔としての力を早く覚醒させたいと考えていた。
アズラエルの言うことはもっともだとわかってはいたが、どうしても、トレルにはユフィルへの道程に時間をかけてしまったことが
悔やまれて仕方なかったのだ。
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