深淵に眠る十字架 The second

ルカ(聖夜月ルカ)

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復讐の連鎖

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 (あのくらいのことで怒ってしまうとは…私も全く大人気ないことをしてしまったものだ。)



 上等のワインを抱えたアズラエルは、トレルの家に向かっていた。
あれからすぐに反省はしたものの、なんとなく気まずくなかなか決心が着かないままに時が流れた。
しかし、こういう問題は時間が経てば経つ程に顔を合わせにくくなるもの。
アズラエルはようやく心を決め、決まりの悪さを埋めるためのワインを買った。



 (トレルの愛する女性のために花束でも買って来た方が良かったのだろうか?
……ここまで来てそんなことを考えても仕方がないな。)

つまらない考えに失笑しながら、アズラエルはトレルの家の扉を叩く。
いつもなら勝手に家の中に飛ぶのだが、一緒に住む女性がいると聞いてはそういうことは出来ない。

 中からの返事はなかった。
 不審に感じたアズラエルがノブを回すと、扉はすんなりと開いた。
 開いた途端、いやな臭いがアズラエルの鼻をつく。



 (この臭いは……!)



 「トレル!いるのか!?」

 家の中は特におかしな様子はなかったが、においは奥へ進むほどきつくなっていく。



 「トレル、入るぞ!」

トレルの部屋の扉を開いた途端、腐臭は一気に強まり、アズラエルはとっさに腕で鼻を覆う。
 腐臭の源が、ベッドの上の女の死体だということはアズラエルにはすぐにわかった。
 女の顔を見たアズラエルの瞳が大きく見開かれる。



 「トレル!」

 柱にくくりつけられた血みどろのトレルは、虚ろな目をして身動き一つしなかった。



 「トレル!大丈夫か!」

もしや死んでいるのではないかと思ったトレルが小さな瞬きをしたことで、アズラエルはほっと胸を撫で下ろした。
すぐに猿ぐつわをはずし縄を解き、アズラエルはトレルを抱き起こす。
トレルの痩せこけたその顔は土のような色をしていた。



 「トレル、何があった!?」

トレルは微かに唇を動かすだけで、また目を閉じ、ゆっくりと倒れこむ。
アズラエルは、倒れ掛かった身体を受け止め、その頬に平手を打った。
その衝撃にトレルははっとしたように目を開いたが、またすぐに目を閉じた。



 (まずい…かなり弱ってるな…)

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