深淵に眠る十字架 The second

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
303 / 355
決意

19

しおりを挟む
「俺はルークを信じてやれなかった…最低の父親だ。
 俺はなんとしてもルークに会って詫びないといけない…
だから俺は旅に出た。
あいつの行き先を考えたら、真っ先にスィーク・レノが浮かんだんだ。
あそこにはもう誰もいないが、ミューラントと通じる場所があるからな。
でも、何事もなかった。
ルークはあそこには行っちゃいなかった。
……とんだ無駄足だったよ。
 親父から借りた路銀は底を着き、働きながらなんとか戻っては来たんだが、もしかしたら、またユフィルに行ったんじゃないかって思って、今度はユフィルに向かったんだがそこにもなにもなかった。
……あ、そうだ。
ユフィルに新しい教会が建ってたぜ。
それが、前のと比べるとうんと小さくて……」

アズラエルは何度も頷く。



 「……なんだ、もう知ってるのか…
それじゃあ、あんた達もユフィルに?」

 「あぁ、トレルの瞬間移動の練習のためにな。
ラグラの森にも行ったんだぞ。」

 「じゃ、ボク達の伝言はなぜ見なかったんだよ!」

 「すまん…あの場所には行かなかった。
ほんの少し散策しただけですぐに戻ったんだ。
 伝言を残してくれてたのか?」

 「そうさ!ラングがなかなか戻って来ないから心配で…
それで、あんたに探しに連れて行ってもらおうと思ってたんだ。
……でも、その頃にはラングはもう…」

リンクはそこまで言うと、俯いて唇を噛み締めた。



 「そうだったのか…
私達は大きな勘違いをしていたんだな。
てっきり、あれはルークとオルジェスの仕業だと思いこんで…」

 「まさか、ラングがそんなことをやるなんて考えても見なかったもんな。
あれは、悪魔の炎ではなく精霊の炎だったらしい。」

 「精霊の……そうか…原理は違っても効果は似たようなものだからな…間違えるのも無理はない。
ラングの心はそこまで追い詰められていたのだな…可哀想に…あ…すまない…」

アズラエルは、自分の無神経な発言をランディに詫びた。



 「……いや、その通りだ。
 俺もとても複雑な心境なんだ。
ラングのことはとても憎い…!
 俺の大切なコージーの命を奪ったんだからな…
でも…ラングがそんなことをしたのにはそれなりの理由がある…その気持ちは痛い程わかるんだ…
放火は濡れ衣だったとしても、ルークがこの事件の元凶であることは間違いない。
あいつがそんなことさえしなければ、ラングだって…」

 部屋の中に、気まずい沈黙の時が流れた。
 母親と妹を失ったアルグ…義妹と姪を失ったリンク…
そして、息子を失ったランディ…
皆が傷付き、そして、そんな事態になったことで皆が罪の意識を背負っていた。
そしてその元凶はルークとオルジェス…
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

​『イージス艦長、インパール最前線へ。――牟田口廉也に転生した俺は、地獄の餓死作戦を「鉄壁の兵站要塞」に変える』

月神世一
SF
​【あらすじ】 ​「補給がなければ、戦場に立つ資格すらない」 ​ 坂上真一(さかがみ しんいち)、50歳。  かつてイージス艦長として鉄壁の防空網を指揮し、現在は海上自衛隊で次世代艦の兵站システムを設計する男。  背中には若き日の過ちである「仁王」の刺青を隠し持ち、北辰一刀流の達人でもある彼は、ある日、勤務中に仮眠をとる。 ​ 目が覚めると、そこは湿気と熱気に満ちた1944年のビルマだった。  鏡に映っていたのは、小太りで口髭の男――歴史の教科書で見た、あの「牟田口廉也」。 ​ しかも時期は、日本陸軍史上最悪の汚点とされる「インパール作戦」決行の直前。  部下たちは「必勝の精神論」を叫び、無謀な突撃を今か今かと待っている。 ​ (……ふざけるな。俺に、部下を餓死させろと言うのか?) ​ 現代の知識と、冷徹な計算、そして海自仕込みのロジスティクス能力。  すべてを駆使して、坂上(中身)は歴史への介入を開始する。  精神論を振りかざすふりをして上層部を欺き、現地改修で兵器を強化し、密かに撤退路を整備する。 ​ これは、「史上最も無能な指揮官」の皮を被った「現代の有能な指揮官」が、確定した敗北の運命をねじ伏せ、数万の命を救うために戦う、逆転の戦記ドラマ。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

魔王と呼ばれた勇者、或いは勇者と呼ばれた魔王 〜最強の魔剣で自由に生きる! 金も女も、国さえも思いのまま!! …でも何かが違うみたいです

ちありや
ファンタジー
クラスメートからのイジメが元で死んでしまった主人公は、その報われぬ魂を見かねた女神によって掬い上げられ異世界で転生する。 女神から授けられた不思議な剣を持つことで、彼はあらゆる敵に打ち勝ちあらゆる難問を解き明かし、あらゆる女性を虜にする力を手に入れる。 無敵の力を手に入れた男が次に望む物は果たして…? 不定期連載(7〜10日間隔で出していく予定)

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした

たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。 死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

いつまでもドアマットと思うなよ

あんど もあ
ファンタジー
二年前に母を亡くしたミレーネは、後妻と妹が家にやって来てからすっかり使用人以下の扱いをされている。王宮で舞踏会が開催されるが、用意されたのは妹のドレスだけ。そんなミレーネに手を差し伸べる人が……。

我らダンジョン攻略部〜もしも現実世界にダンジョンができて、先行者利益を得られたら〜

一日千秋
ファンタジー
昨今、話題の現実にダンジョンができる系の作品です。 高校生達のダンジョン攻略と日常の学校生活、ビジネス活動を書いていきます。 舞台は2025年、 高校2年生の主人公の千夏将人(チナツマサト)は 異世界漫画研究部の部長をしています。 同じ部活の友人たちとある日突然できたダンジョンに できてすぐ侵入します。 オタクは知っている、ダンジョンには先行者利益があることを。 そして、得たスキルでこつこつダンジョンを攻略していき、日本で影響力をつけていった先に待ち受ける困難とは!? ダンジョンの設定はステータス、レベル、スキルあり、ダンジョン内のモンスターの死体はしっかり消えます。 一話につき1000〜2500文字くらいの読みやすい量になっているので初心者には読みやすい仕様になっております。 キャラクターはところどころ新キャラが出てきますがメインストーリーは主に3人なので複雑になりすぎないように心がけています。 「いいね」頂けるととても嬉しいです! 「お気に入り」登録も最高に嬉しいです! よろしくお願いします! ※契約書、経済システムの書式、掲示板テンプレはAI生成を活用して制作しております。修正、加筆は行っております。ご了承下さい。

処理中です...