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決意
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*
「それじゃあ、頼んだぞ。
俺達はこの場所で待ってるからな。」
「あぁ、任せとけ。」
オルジェスはスクロスという下っ端悪魔を金で手懐け、サーリックの火事について情報を聞きこませた。
次の日の夕方、スクロスは早々と情報を持って戻った。
*
「えらく早かったじゃないか。
本当にしっかり聞いて来たんだろうな?」
オルジェスとルークは、酒場の片隅でスクロスからの報告を待った。
「あぁ、もちろんだ。
あんな田舎のことだ。
ちょっとしたことでも、皆が知ってる。
俺は、通り掛かりの旅人の振りをして、言われた場所の近くで出会った男に話を聞いた。
なんでも、あの屋敷は村一番の金持ちの家だそうで、あの家の子供が一人死んだらしいんだ。
あの屋敷には子供が何人かいて、一番末の娘がいないことに気付いた兄が火の中に戻って妹を助け出したらしいんだが、そいつはそのまま火に巻かれたらしいんだ。
それとな…」
スクロスは急に声をひそめ、意味ありげな笑みを浮かべた。
「何かあるのか?」
「実はな…あの屋敷の火事は普通のもんじゃないようだ。
あの屋敷は跡形もなく燃えつき、いなくなったガキの遺体もとうとうみつからなかったそうだ。」
「なんだって!?」
ルークは思わず大きな声をあげた。
「……それは、どういうことだ?」
「つまり、火事は人間の仕業じゃねぇってことだな。」
「そ、それじゃあ…あの火事は悪魔がやったものだと…?」
問いかけたルークの声が微かに震える。
スクロスはそんなルークの様子を不審に感じながらも、ゆっくりと頷いた。
「……おまえら、なんだってそんなことを知りたがるんだ?」
「余計な詮索はするな。
さぁ、おまえはもう向こうへ行け!」
オルジェスは、テーブルに金を叩き付け、スクロスはそれを受け取ると上機嫌で酒場を後にした。
「……どういうこと?」
「そんなの…俺にわかるかよ。」
「なんで、ベルナールは放火なんて…」
ルークの呟きに、オルジェスの表情は一変する。
「おい、待てよ!
放火が悪魔の仕業だとしても、ベルナールがやったなんてこと、あるはずないだろ!」
「だったら、誰がそんなことするって言うんだよ!
ランディに何かするとしたら、ベルナールしか考えられないじゃないか!」
「ベルナールは、そんなこと、絶対にしていない!」
二人は今にも飛びかからんばかりの勢いで睨み合い、身体を震わせた。
「それじゃあ、頼んだぞ。
俺達はこの場所で待ってるからな。」
「あぁ、任せとけ。」
オルジェスはスクロスという下っ端悪魔を金で手懐け、サーリックの火事について情報を聞きこませた。
次の日の夕方、スクロスは早々と情報を持って戻った。
*
「えらく早かったじゃないか。
本当にしっかり聞いて来たんだろうな?」
オルジェスとルークは、酒場の片隅でスクロスからの報告を待った。
「あぁ、もちろんだ。
あんな田舎のことだ。
ちょっとしたことでも、皆が知ってる。
俺は、通り掛かりの旅人の振りをして、言われた場所の近くで出会った男に話を聞いた。
なんでも、あの屋敷は村一番の金持ちの家だそうで、あの家の子供が一人死んだらしいんだ。
あの屋敷には子供が何人かいて、一番末の娘がいないことに気付いた兄が火の中に戻って妹を助け出したらしいんだが、そいつはそのまま火に巻かれたらしいんだ。
それとな…」
スクロスは急に声をひそめ、意味ありげな笑みを浮かべた。
「何かあるのか?」
「実はな…あの屋敷の火事は普通のもんじゃないようだ。
あの屋敷は跡形もなく燃えつき、いなくなったガキの遺体もとうとうみつからなかったそうだ。」
「なんだって!?」
ルークは思わず大きな声をあげた。
「……それは、どういうことだ?」
「つまり、火事は人間の仕業じゃねぇってことだな。」
「そ、それじゃあ…あの火事は悪魔がやったものだと…?」
問いかけたルークの声が微かに震える。
スクロスはそんなルークの様子を不審に感じながらも、ゆっくりと頷いた。
「……おまえら、なんだってそんなことを知りたがるんだ?」
「余計な詮索はするな。
さぁ、おまえはもう向こうへ行け!」
オルジェスは、テーブルに金を叩き付け、スクロスはそれを受け取ると上機嫌で酒場を後にした。
「……どういうこと?」
「そんなの…俺にわかるかよ。」
「なんで、ベルナールは放火なんて…」
ルークの呟きに、オルジェスの表情は一変する。
「おい、待てよ!
放火が悪魔の仕業だとしても、ベルナールがやったなんてこと、あるはずないだろ!」
「だったら、誰がそんなことするって言うんだよ!
ランディに何かするとしたら、ベルナールしか考えられないじゃないか!」
「ベルナールは、そんなこと、絶対にしていない!」
二人は今にも飛びかからんばかりの勢いで睨み合い、身体を震わせた。
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