泉の精霊

ルカ(聖夜月ルカ)

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泉の精霊Ⅱ

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一万人目の人物は、寂しげな瞳をした中年の男だった。
精霊に向かって恭しく一礼し、その場に跪く。



「じゃあ、早速だけど、どうしてこの泉の水が欲しいのか、それを僕に話してくれる?」

フォルテュナは、男には興味なさげに一瞥しただけで、さらっとそう呟いた。



「はい…少し、長い話になりますがよろしいですか?」

「あぁ、全然構わないよ。
あんまり面白くなかったら居眠りしてしまうかもしれないけど、気にしないで話して。」

「………」

男は、なんとも複雑な表情でフォルテュナをみつめていたが、やがてゆっくりと話し始めた。



「私は、何の取り柄もないつまらない男です。
見ての通り、見てくれもぱっとしません。
気の利いた話も出来ません。
内面も同じようなものです。
特に能力が劣っているというわけではありませんが、運動も勉強もとりたてて得意なものは昔から何一つありませんでした。
これといった楽しい思い出もないまま大人になリ、大人になってからもつまらない仕事ばかりしていました。
誰にでも出来る作業ばかりです。
そんな仕事ですからたいした賃金ももらえず、当然、女性にも全然モテませんでした。
それどころか、私に関心を示す人等ほとんどいなかったのです…」

そこまで話して男は一息吐いた。
男は上目遣いでフォルテュナの様子を伺っている。



「大丈夫だよ。ちゃんと聞いてるから…」

「あ…は、はい。
周りの皆が結婚して幸せになっていくのを見ながら、私は考えました。
なぜ、私はこんなにも人の関心をひけない人間なのか…
誰からも空気のように感じられてしまうこんな人間でいるのは、なぜなのか…
そして、やっと気付いたのです。
私がどこにでもいるような平凡な人間だから、誰も私に興味を示さないのだと…
いえ、気付いたというよりはやっと認めたということなのかもしれません。
わかっていながら、それを認めたくはなかったのです。
そして、私はまた考えました。
それなら、何か特別な才能を身に付ければ…
他の人にはない特別な能力を私が身に付ければ、人の見方は変わってくるはず!
私が目を付けたのは、魔力でした。
それからの私は魔法に関する書物を読み漁り、そこに書いてある先人達の苦しい修行を実行しました。
特別な能力が身につくという薬も飲みました。
時には命さえ落としかけるようなこともありましたが、その甲斐あって、私はついに望んでいた力を手に入れたのです!
ついに、普通の人間には出来ないようなことが出来るようになったのです!」


 
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