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泉の精霊Ⅱ
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「それは良かったじゃない。
でも、それなら、あなたはなぜここに来たの?
あなたの望みは叶ったんでしょう?
それなら、ここに来る必要はないんじゃないの?」
「そう…私は何十年もかかって特別な力を手に入れました。
ですが、皮肉なことに本来の目的は達成出来なかったのです。
私がそんな力を身に付けても、おかしなことに誰も私に関心を示さなかったのです。
私のことをまるで見えないもののように、知らん顔をするのです。」
そう呟く男の顔は、とても寂しそうなものだった。
「ふ~ん…それで、あなたは、一体、どんな力を身に付けたの?」
「空を飛んだり…一瞬のうちに違う場所へ行くことも出来ます。
壁を通り抜けることも出来ます。
それがくだらない力だと思われますか?
私は長い間、血の滲むような努力をして、やっと身につけた力なのですよ!
それを、なぜ、皆はわかろうとしないのですか?
なぜ、私のことを認めないのですか?!」
「……ねぇ…あなたはここに何をしに来たの?
僕に愚痴を聞かせるため?」
「い……いえ、決してそんなつもりは…」
「じゃあ、いいかげん、あなたの願い事を聞かせてよ。」
フォルテュナは白羽扇をぱたぱたと動かしながら、小さなあくびをひとつした。
「申し訳ありません…
私の願いは…
皆に、私のことを認めてもらうこと…」
「認める…ねぇ…
もう少し具体的に話してくれる?
皆にすごいって言われたいってこと?」
「い…いえ…
そうでは…そうではありません…
私は…」
男はそう言うと、一点を見つめたまま押し黙ってしまった。
フォルテュナはそんな男に声をかけることもなく、男の次の言葉が飛び出すのを待っているかのようにゆっくりと白羽扇を動かすだけだった。
「……私は、ただ…少しでも良いから、私のことを気にしてほしくて…
私のことをかまってほしくて…
何か言葉をかけてほしくて…」
フォルテュナは、何も言わず、男をじっとみつめていた。
「つまり、あなたは愛情がほしいってことなんだね。」
「愛情……?」
「違うの?」
「……愛情……」
男は、その言葉を噛み締めるように呟いた。
「この次はそうなれるように…
愛される人間になれるように、頑張ってよ…」
「この次…?
フォルテュナ様、それはどういうことですか?
それは、私に泉の水を下さるということなのですか?
そして、愛される人間になれと…?」
フォルテュナは、首を横に振った。
「そうじゃない…
この次は、この次だよ…
泉の水は君には必要のないものだからね…」
「フォルテュナ様、わたしにはあなたのおっしゃる意味がわかりません。
何のことをおっしゃっているのですか?」
でも、それなら、あなたはなぜここに来たの?
あなたの望みは叶ったんでしょう?
それなら、ここに来る必要はないんじゃないの?」
「そう…私は何十年もかかって特別な力を手に入れました。
ですが、皮肉なことに本来の目的は達成出来なかったのです。
私がそんな力を身に付けても、おかしなことに誰も私に関心を示さなかったのです。
私のことをまるで見えないもののように、知らん顔をするのです。」
そう呟く男の顔は、とても寂しそうなものだった。
「ふ~ん…それで、あなたは、一体、どんな力を身に付けたの?」
「空を飛んだり…一瞬のうちに違う場所へ行くことも出来ます。
壁を通り抜けることも出来ます。
それがくだらない力だと思われますか?
私は長い間、血の滲むような努力をして、やっと身につけた力なのですよ!
それを、なぜ、皆はわかろうとしないのですか?
なぜ、私のことを認めないのですか?!」
「……ねぇ…あなたはここに何をしに来たの?
僕に愚痴を聞かせるため?」
「い……いえ、決してそんなつもりは…」
「じゃあ、いいかげん、あなたの願い事を聞かせてよ。」
フォルテュナは白羽扇をぱたぱたと動かしながら、小さなあくびをひとつした。
「申し訳ありません…
私の願いは…
皆に、私のことを認めてもらうこと…」
「認める…ねぇ…
もう少し具体的に話してくれる?
皆にすごいって言われたいってこと?」
「い…いえ…
そうでは…そうではありません…
私は…」
男はそう言うと、一点を見つめたまま押し黙ってしまった。
フォルテュナはそんな男に声をかけることもなく、男の次の言葉が飛び出すのを待っているかのようにゆっくりと白羽扇を動かすだけだった。
「……私は、ただ…少しでも良いから、私のことを気にしてほしくて…
私のことをかまってほしくて…
何か言葉をかけてほしくて…」
フォルテュナは、何も言わず、男をじっとみつめていた。
「つまり、あなたは愛情がほしいってことなんだね。」
「愛情……?」
「違うの?」
「……愛情……」
男は、その言葉を噛み締めるように呟いた。
「この次はそうなれるように…
愛される人間になれるように、頑張ってよ…」
「この次…?
フォルテュナ様、それはどういうことですか?
それは、私に泉の水を下さるということなのですか?
そして、愛される人間になれと…?」
フォルテュナは、首を横に振った。
「そうじゃない…
この次は、この次だよ…
泉の水は君には必要のないものだからね…」
「フォルテュナ様、わたしにはあなたのおっしゃる意味がわかりません。
何のことをおっしゃっているのですか?」
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