78~運命のカード

ルカ(聖夜月ルカ)

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王子

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 「う…うぅ……」

 「ディ、ディオニシス様!
 気が付かれたのですか!?
だ、誰か!すぐに医者を!!
それと、すぐに王に連絡を…!」



ダニエルが目を覚ました場所は、まるで見覚えのない部屋だった。
 大きな窓からそよぐ風がダニエルの頬を優しく撫ぜる。
 天井が高く、声の響き具合からとても広い部屋だということをダニエルはぼんやりと感じた。
それと同時に、頭に激しい痛みが走り、ダニエルは思わず小さなうめき声を漏らす。



 「ディオニシス様!どこかお痛みになるのですか?」

 目の前に現れたのは、見覚えのない中年の痩せた男の顔。
ダニエルを見て、男が酷く驚き緊張していることがダニエルにもはっきりとわかった。



 「あの……ここは、一体…
僕は、なぜこんな所に…?」

そう言ううちに、ダニエルは少し前に起こったことを思い出していた。



 (……そうだ。
 僕は路地で手品師に会って……
そう…具合が悪くなって倒れたんだ。
……って、ことは、この人が僕を助けてくれたのか?
でも、ここは病院ではなさそうだし……)




 「ディニオシス様、何も覚えていらっしゃらないのですか?」

 「あの……ディニオシスっていうのは何なんですか?」

 「おぉぉ……なんてことだ!」

 男は、目にうっすらと涙と浮かべ、両手で口許を覆い、そのまま言葉を失った。




 「ルーカス様!オレスト医師が到着されました!」

 慌しくそう言った若い男から少し遅れて、白衣を着込んだ白髪の男と女性が後に続いた。



 「オレスト医師、ディニオシス様が…!」

 白髪の男は、ベッドに横たわるダニエルを見て、目を大きく見開いた。



 「……奇蹟だ…」

 小さな声でそう呟くと、オレスト医師はダニエルの傍へ歩み寄る。



 「失礼致します。」

 恭しく一礼すると、オレスト医師はおずおずと手を差し伸べダニエルの脈を取った。



 「あの…僕、あそこで倒れてからどうなったんです?
こちらの方が助けて下さったんですか?」

 「……ディニオシス様…倒れたとはどういうことですか?」

 「え?……だから、僕はあの路地で倒れて……あの手品師の老人が連絡してくれたんですか?
でも、だったら、なぜ病院じゃなくてこんな所に?」

オレスト医師は、ダニエルの顔をじっとみつめながら訝しげな表情を浮かべる。
そこへ、ルーカスと呼ばれた先程の男が、何事かをそっと耳打ちし、オレスト医師はそれに応えるように何度も頷いた。
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