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微笑みに潜む悪意
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「そうだったのか、それは大変な時によく来てくれたな。
感謝するぞ、マウリッツ。
しかし、それではそう長居は出来ないだろう。
早くに帰らねばならんのではないか?」
「お気遣い、どうもありがとうございます。
ですが、トゥーラのことなら心配いりません。
あいつは俺なんかよりずっとしっかりしてますから。
遠い道程をこうしてはるばるやって来たのですから、すぐに帰ってはもったいないです。
しばらくはご厄介になりますよ。」
夕食の席でも、マウリッツは特に緊張した素振りも見せず、明るい声で話し朗らかに笑った。
そんなマウリッツのおかげで、夕食の席はいつもよりずっと賑やかなものになった。
「そうだ、ディオ!
明日は、薔薇を見に別荘の方へ行ってみないか?」
「え…?で、でも、僕…こないだこっちに戻って来たばかりだし…
それに、別荘は遠いから…」
「あ、そうか…じゃあ、別の所でも良いぞ。
どこか、おまえの好きな場所へ行こう。
体調はもう問題ないんだろう?」
「でも……僕…記憶をなくしてるから、どこに行ったら良いのかわからないし……」
「あぁ、そうか…」
城を離れるということは、ディオニシスの身辺警護の手が薄くなるということ…
マウリッツの企みも、まだどんなものなのかわからない。
ディオニシスとしてはなるべく城から離れたくないと考え、歯切れの悪い曖昧な答えを繰り返す。
「ディオニシス…マウリッツがせっかくこうしておまえに気を遣ってくれているというのに、何なんだその気のない返事は…」
「すみません…」
ディオニシスはまるで叱られた子供のような情けない表情で俯いた。
「……おまえは、怪我をして以来、どこか別人のようになってしまったな。
以前のおまえなら…」
「セルギオス様、ディオはあれほどの怪我を負ったのです。
普通なら命を落とす程の大怪我ですよ。
それに記憶もまだ戻らないのですから。
一番戸惑ってるのはディオだと思います。
記憶がないということは、きっと俺達が思うよりずっと不安なことなんですよ。
そのうち、元のディオに戻りますからその日をゆっくり待ちましょうよ。」
セルギオスの言葉を遮ってまでディオニシスをかばうマウリッツのその言葉に、セルギオスは苦い笑いを浮かべて頷いた。
「そうだったのか、それは大変な時によく来てくれたな。
感謝するぞ、マウリッツ。
しかし、それではそう長居は出来ないだろう。
早くに帰らねばならんのではないか?」
「お気遣い、どうもありがとうございます。
ですが、トゥーラのことなら心配いりません。
あいつは俺なんかよりずっとしっかりしてますから。
遠い道程をこうしてはるばるやって来たのですから、すぐに帰ってはもったいないです。
しばらくはご厄介になりますよ。」
夕食の席でも、マウリッツは特に緊張した素振りも見せず、明るい声で話し朗らかに笑った。
そんなマウリッツのおかげで、夕食の席はいつもよりずっと賑やかなものになった。
「そうだ、ディオ!
明日は、薔薇を見に別荘の方へ行ってみないか?」
「え…?で、でも、僕…こないだこっちに戻って来たばかりだし…
それに、別荘は遠いから…」
「あ、そうか…じゃあ、別の所でも良いぞ。
どこか、おまえの好きな場所へ行こう。
体調はもう問題ないんだろう?」
「でも……僕…記憶をなくしてるから、どこに行ったら良いのかわからないし……」
「あぁ、そうか…」
城を離れるということは、ディオニシスの身辺警護の手が薄くなるということ…
マウリッツの企みも、まだどんなものなのかわからない。
ディオニシスとしてはなるべく城から離れたくないと考え、歯切れの悪い曖昧な答えを繰り返す。
「ディオニシス…マウリッツがせっかくこうしておまえに気を遣ってくれているというのに、何なんだその気のない返事は…」
「すみません…」
ディオニシスはまるで叱られた子供のような情けない表情で俯いた。
「……おまえは、怪我をして以来、どこか別人のようになってしまったな。
以前のおまえなら…」
「セルギオス様、ディオはあれほどの怪我を負ったのです。
普通なら命を落とす程の大怪我ですよ。
それに記憶もまだ戻らないのですから。
一番戸惑ってるのはディオだと思います。
記憶がないということは、きっと俺達が思うよりずっと不安なことなんですよ。
そのうち、元のディオに戻りますからその日をゆっくり待ちましょうよ。」
セルギオスの言葉を遮ってまでディオニシスをかばうマウリッツのその言葉に、セルギオスは苦い笑いを浮かべて頷いた。
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