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崩れる塔
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「スピロスさん、そしてアドニアさん…
こんなに良くしていただいていて申し訳ないとは思うのですが、まだすべてを話す事は出来ません。
ただ…僕は信じていた人に裏切られ…ずっと疑っていた人こそが信じられる友人だったと、今回のことでやっと気付いたんです。」
「……わかりました。
君にはなにかとても深い事情があるようですね。
君をこんな目に合わせた犯人が誰なのかも、君はすでにわかっている…記憶を失ってるわけではないのですね。」
スピロスに問い詰められ、ダニエルは仕方なく頷いた。
「ごめんなさい。騙すつもりはなかったんです。
ただ、今はすべてを話すことは出来ないので、それで…
本当にすみません。」
ダニエルは、今までのことを素直に詫び、頭を下げた。
「そうだったんですか…
まぁ、それも仕方のないことですね。」
「スピロスさん、僕が不思議なのは、その犯人はすぐ近くに……おそらく北の町にいるはずなのに、どうしてここに来ないかということなんです。
普通ならまずはここから探すんじゃないかと思うんですが…」
「なんだって!
犯人は北の町の者だって言うのかい!?
誰なんだ?
あたしはあの町の者もほとんど知ってるけど、そんな悪い事をやるような奴はいないはずだけど…店の使用人なのかい?」
ダニエルは、俯いたままで首を振る。
「いいえ、彼はとても身分の高い……」
言いかけた言葉を、ダニエルは飲みこんだ。
「身分が高い…?金持ちってことなのかい?
地主か何かのことかい?」
「いえ…」
短くそう答えたきり、口をつぐんでしまったダニエルの肩にスピロスが優しく手を置いた。
「余程、大変なことなのですね。
君が誰のことを言ってるのかはわかりませんが、もしかしたら君はなにか思い違いをしてるのではありませんか?
……そうだ、もしかしたら、拷問を受けたのはここではなくラーフィンなのでは…?」
「いえ、そんなことはありません。」
あの酷い痛みがトラニキアの頂上だという確証はなかったが、ダニエルはラーフィンという国に行ったことはもちろんなく、リンガーを出たこともなかった。
魔導師の術ならどこへ行くにも一瞬のことなのだろうが、あの時の状況から考えても他所の国に連れ去られたというよりは、トラニキアの頂上の方がダニエルには自然なことのように思えた。
こんなに良くしていただいていて申し訳ないとは思うのですが、まだすべてを話す事は出来ません。
ただ…僕は信じていた人に裏切られ…ずっと疑っていた人こそが信じられる友人だったと、今回のことでやっと気付いたんです。」
「……わかりました。
君にはなにかとても深い事情があるようですね。
君をこんな目に合わせた犯人が誰なのかも、君はすでにわかっている…記憶を失ってるわけではないのですね。」
スピロスに問い詰められ、ダニエルは仕方なく頷いた。
「ごめんなさい。騙すつもりはなかったんです。
ただ、今はすべてを話すことは出来ないので、それで…
本当にすみません。」
ダニエルは、今までのことを素直に詫び、頭を下げた。
「そうだったんですか…
まぁ、それも仕方のないことですね。」
「スピロスさん、僕が不思議なのは、その犯人はすぐ近くに……おそらく北の町にいるはずなのに、どうしてここに来ないかということなんです。
普通ならまずはここから探すんじゃないかと思うんですが…」
「なんだって!
犯人は北の町の者だって言うのかい!?
誰なんだ?
あたしはあの町の者もほとんど知ってるけど、そんな悪い事をやるような奴はいないはずだけど…店の使用人なのかい?」
ダニエルは、俯いたままで首を振る。
「いいえ、彼はとても身分の高い……」
言いかけた言葉を、ダニエルは飲みこんだ。
「身分が高い…?金持ちってことなのかい?
地主か何かのことかい?」
「いえ…」
短くそう答えたきり、口をつぐんでしまったダニエルの肩にスピロスが優しく手を置いた。
「余程、大変なことなのですね。
君が誰のことを言ってるのかはわかりませんが、もしかしたら君はなにか思い違いをしてるのではありませんか?
……そうだ、もしかしたら、拷問を受けたのはここではなくラーフィンなのでは…?」
「いえ、そんなことはありません。」
あの酷い痛みがトラニキアの頂上だという確証はなかったが、ダニエルはラーフィンという国に行ったことはもちろんなく、リンガーを出たこともなかった。
魔導師の術ならどこへ行くにも一瞬のことなのだろうが、あの時の状況から考えても他所の国に連れ去られたというよりは、トラニキアの頂上の方がダニエルには自然なことのように思えた。
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