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折れた杖
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「そうか、それは良かったな!」
男達が、キーファの家に戻ったのは、日が沈みかけた時だった。
キーファはすでに家に戻っており、夕食の準備に取り掛かっていた。
「また缶詰工場で働くなんて言ったら、リアナに笑われそうだけどな。」
「なんでだよ。
誰だって、慣れ親しんだ仕事の方が楽だと考えるもんだろ。
そんなこと、リアナは笑ったりしないさ。」
「でも、せっかく都会に出て来たのに…」
「気にいらなきゃ、また転職すれば良いじゃないか。」
「ま、そうだけどな…
そういえば、あんたらは今まで何をしてたんだ?」
「えっ!?」
突然の質問に、ダニエル達は思わず顔を見合わせた。
「ぼ、僕は…」
「ダ、ダニエルは、実家の商売の手伝いをしてた。なっ?」
マウリッツが目配せをしながら、ダニエルの代わりに答えた。
「う、うん。」
「商売って…何をしてるんだ?」
「えっ、そ、それは…」
「ダニエルの家は宝石商をしている。」
「へぇ、なるほどな。
道理で金を持ってるはずだ。
じゃあ、あんたは?」
キーファは今度はマウリッツに職業を訊ねた。
「お、俺は……」
「私達はトレジャーハンターだ。」
「だったら、ロージックにはお宝を探しに来たのか?」
「そうじゃない。
ちょっとしたお宝を手に入れたから、旅行がてら出て来たんだ。
一度、トラニキアに登ってみたかったからな。」
「へぇ、あんたら田舎の出身だって言ってたけど、そんな所でお宝なんてみつかるのか?
あ……わかったぞ!
あんたら、氷の山を探してたんだろう!?」
「あ、あぁ、その通りだ。よくわかったな。」
ウォルトは、キーファの見当はずれの推測に、適当な答えをして愛想笑いを浮かべた。
「やっぱりそうか。
あそこにはお宝が埋まってるって話は聞いたことがある。
だけど、あのあたりは凍える程寒くて、うかつにあの山に入ったりすると、生きて戻れることはないって聞いてるぜ。」
「俺達は寒い所で育ったから、比較的寒さには強いんだ。
それと運が良かったんだな。
危険な所へ行く前にお宝を発見出来たから。」
「確かに、大当たりをすることもあるかもしれないが、あんたらももう良い年だ。
そういう浮き草みたいな暮らしはやめて、しっかりと地に足を付けた暮らしをしないと、嫁さんだってもらえないぜ。
……そうだ、あんたらもこの町で仕事を探したらどうだ?」
「……そうだな。考えてみるよ。」
「そうか、それは良かったな!」
男達が、キーファの家に戻ったのは、日が沈みかけた時だった。
キーファはすでに家に戻っており、夕食の準備に取り掛かっていた。
「また缶詰工場で働くなんて言ったら、リアナに笑われそうだけどな。」
「なんでだよ。
誰だって、慣れ親しんだ仕事の方が楽だと考えるもんだろ。
そんなこと、リアナは笑ったりしないさ。」
「でも、せっかく都会に出て来たのに…」
「気にいらなきゃ、また転職すれば良いじゃないか。」
「ま、そうだけどな…
そういえば、あんたらは今まで何をしてたんだ?」
「えっ!?」
突然の質問に、ダニエル達は思わず顔を見合わせた。
「ぼ、僕は…」
「ダ、ダニエルは、実家の商売の手伝いをしてた。なっ?」
マウリッツが目配せをしながら、ダニエルの代わりに答えた。
「う、うん。」
「商売って…何をしてるんだ?」
「えっ、そ、それは…」
「ダニエルの家は宝石商をしている。」
「へぇ、なるほどな。
道理で金を持ってるはずだ。
じゃあ、あんたは?」
キーファは今度はマウリッツに職業を訊ねた。
「お、俺は……」
「私達はトレジャーハンターだ。」
「だったら、ロージックにはお宝を探しに来たのか?」
「そうじゃない。
ちょっとしたお宝を手に入れたから、旅行がてら出て来たんだ。
一度、トラニキアに登ってみたかったからな。」
「へぇ、あんたら田舎の出身だって言ってたけど、そんな所でお宝なんてみつかるのか?
あ……わかったぞ!
あんたら、氷の山を探してたんだろう!?」
「あ、あぁ、その通りだ。よくわかったな。」
ウォルトは、キーファの見当はずれの推測に、適当な答えをして愛想笑いを浮かべた。
「やっぱりそうか。
あそこにはお宝が埋まってるって話は聞いたことがある。
だけど、あのあたりは凍える程寒くて、うかつにあの山に入ったりすると、生きて戻れることはないって聞いてるぜ。」
「俺達は寒い所で育ったから、比較的寒さには強いんだ。
それと運が良かったんだな。
危険な所へ行く前にお宝を発見出来たから。」
「確かに、大当たりをすることもあるかもしれないが、あんたらももう良い年だ。
そういう浮き草みたいな暮らしはやめて、しっかりと地に足を付けた暮らしをしないと、嫁さんだってもらえないぜ。
……そうだ、あんたらもこの町で仕事を探したらどうだ?」
「……そうだな。考えてみるよ。」
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