78~運命のカード

ルカ(聖夜月ルカ)

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「おまえは、ネストルの実の弟を間者にしようというのか?」

 「……はい。」

 「そんな馬鹿な…
確かに、ニコラスは実直な男だが、そんなことをあいつが承服するはずがない。
そんなことをすれば、私がネストルに疑いを持っていることが筒抜けになってしまう。」

 「これはセルギオス王の知らぬこと。
 私からの特命だということにいたしましょう。」

 「だが……」

セルギオスは、何かを言いかけ、そして言葉を濁した。



 「ニコラス様なら、きっとこの特命を見事に遂行されると思います。
 少しの間でしたが、私は彼に接し、彼を信用できる人物だと感じました。
ネストル様とは違い、とても真っ直ぐな…あ、いえ、失礼いたしました。」

 「いや…気にするな。
 確かにあいつは子供の頃からとても生真面目な奴だった。
しかし、あの二人は仲の良い兄弟ではない。
ネストルは、ニコラスのことをたいそう嫌っている。」

セルギオス王は、そう言って小さな溜息を吐いた。



 「それはなぜなのですか?」

 「ネストルと比べると、ニコラスは何事においても劣っている。
それは、ネストルが群を抜いて優秀なせいで、なにもニコラスが特別劣っているということではないのだが、あいつにはそれが気に食わないらしい。
かといって、自分より優れていれば、きっとまた疎ましく思うのだろうが…
 ……それに、あいつはニコラスが妾腹の弟だという噂を信じている。」

 「……そうでしたか、そのようなことでニコラス様のことを…」

 「……愚かなやつだ。」

セルギオス王は、虚ろな視線を宙に泳がせた。



 「……リガスよ、間者の件はおまえに一任する。」

 小さな声でそう言い残すと、セルギオスはそっとその場を後にした。
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