78~運命のカード

ルカ(聖夜月ルカ)

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涙する二人

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 「ニコラス様、あそこに…!」

 「あ…赤い雲…!」

 早朝の空に、赤い雲が浮かんでいるのを、ニコラスとヴァシリスはみつけた。



 「ヴァシリス!すぐに、リガス様に…」

 「待て!」



 突然、目の前に現れたネストルとジャーメインに、ニコラスは動揺した。



 「どういうことです?兄上。」

 「このことには関わるな。
 私が然るべき方にちゃんと報告する。」

 「いえ、私はこのことをリガス様に報告せねばなりません。」

 「おまえもしつこいな!
 私の言うことが信じられないのか!?」

ネストルはずいぶんと苛立っているようで、彼のこめかみには青い筋が浮き上がった。



 「信じるとか信じないとか、そういう問題ではありません。
 僕は、僕の任務に忠実であるだけです。
ヴァシリス、行け!」

 「はっ!」

 「ジャーメイン!」

 「はっ!」

ヴァシリスとジャーメインは、その場から掻き消えた。
ジャーメインがヴァシリスの後を追ったことは容易に察しがついた。
ヴァシリスのことが気にかかりながらも、もはやニコラスには何も出来なかった。



 「本当におまえは愚か者だ…」

ネストルは腰の剣を引き抜いた。



 「兄上…!実の弟に刃を向けられるのですか!?」

 「実の弟だと…?
 確かにな…だが、半分だ。
 私はお前とは違う…」

ニコラスは、唇を噛み締めた。
その間にも、ネストルはじわじわと間合いを縮める。



 「そうか、おまえも知っていたのだな。
それも当然だな。
 私とおまえとは似ていない。
おまえは、私より何もかも劣っておる…」

 「兄上…なぜ、このようなことを…!?」

 「おまえが知る必要はない!」

ネストルが剣を振り下ろした。
ニコラスはすんでのところで、その剣を交わした。
ネストルは、憎悪のこもった視線でニコラスを睨む。



 「こしゃくな真似を…!」

ネストルは、迷うことなく剣を振り下ろす。
ニコラスは、ネストルの剣から身を守りながら、懸命に応戦した。
 強風の中に、剣と剣のぶつかる重い金属音が響く。



 (まずいな…さすがは兄上だ。
 僕には、兄上の剣を交わすだけで精一杯だ…)



ニコラスは、流れる汗や血を拭うことも、上がった息を整えることも出来ないまま、ただひたすらにネストルの剣を受け止めた。



 (兄上は本気だ。一瞬でも気を抜いたら、確実に殺される…)



ニコラスは自分に着々と近づいてくる死の足音に、体を震わせた。
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