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妖精からの贈り物
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*
「か、母さん!
起きて!早く、起きてよ!」
「アンリ…!
どうしたんだい?
……まさか、ジョエルになにか…!」
「違うよ。ジョエルはなんともないよ。
そんなことより、こっち、こっち!」
アンリに手をひかれ、母親は寝巻きのままで家を飛び出した。
「ほら!」
アンリが指差す先を見て、母親は言葉を失った。
「母さん、すごいでしょう?」
「アンリ、こんなもの、どこから持ってきたんだい?
それに、これは……」
「持って来たんじゃないよ。
昨日、母さんに見せたじゃない。
あの黒い種がもうこんなに大きくなったんだ。」
「あの種が…?まさか!」
二人の目の前にあるのは、アンリと同じ位の背丈に伸びた一本の若木。
その枝には、赤や桃色、水色、黄緑…様々な色の花が咲いていた。
「綺麗な花だねぇ。
一体、どんな実がなるんだろう?
母さん、ほら、近付いてにおいを嗅いでみなよ。
すっごく良いにおいがするよ。」
アンリに言われるままに、母親は赤い花に鼻を近づける。
「……本当だ…
優しくて良い香りだね。」
「きっと、こんな甘い果物がなるんだろうね!
育つのもこんなに早いから、あと何日かしたら実がなるかもしれないね。」
母親は困惑した顔でわずかに微笑んだ。
目の当たりにした現実を少年のように素直には受け取れず、どこか不気味なものを感じながら…
「早く、ジョエルに食べさせてあげたいなぁ。」
アンリは希望に満ちた瞳で、不思議な木をじっとみつめた。
誰も、あの種が妖精からの贈り物であることを知らない。
不思議な力を持つ特別な種だということを知らない。
けれど、奇蹟の時はもうすぐそこまで来ている…
ある家族が笑顔になれる日はもう間近…
「か、母さん!
起きて!早く、起きてよ!」
「アンリ…!
どうしたんだい?
……まさか、ジョエルになにか…!」
「違うよ。ジョエルはなんともないよ。
そんなことより、こっち、こっち!」
アンリに手をひかれ、母親は寝巻きのままで家を飛び出した。
「ほら!」
アンリが指差す先を見て、母親は言葉を失った。
「母さん、すごいでしょう?」
「アンリ、こんなもの、どこから持ってきたんだい?
それに、これは……」
「持って来たんじゃないよ。
昨日、母さんに見せたじゃない。
あの黒い種がもうこんなに大きくなったんだ。」
「あの種が…?まさか!」
二人の目の前にあるのは、アンリと同じ位の背丈に伸びた一本の若木。
その枝には、赤や桃色、水色、黄緑…様々な色の花が咲いていた。
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一体、どんな実がなるんだろう?
母さん、ほら、近付いてにおいを嗅いでみなよ。
すっごく良いにおいがするよ。」
アンリに言われるままに、母親は赤い花に鼻を近づける。
「……本当だ…
優しくて良い香りだね。」
「きっと、こんな甘い果物がなるんだろうね!
育つのもこんなに早いから、あと何日かしたら実がなるかもしれないね。」
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目の当たりにした現実を少年のように素直には受け取れず、どこか不気味なものを感じながら…
「早く、ジョエルに食べさせてあげたいなぁ。」
アンリは希望に満ちた瞳で、不思議な木をじっとみつめた。
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2025/06/22