魔法のパイ屋さん

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
1 / 15
魔法のパイ屋さん

しおりを挟む
「……ん?」

カパエルは激しく扉を叩く音で目を覚ました。



「カパエル!!起きろ!
俺だ!!」

扉を叩く音と共に、苛ついた怒鳴り声が耳に届き、カパエルはまだはっきりしない意識のままゆっくりと起き上がると、扉の鍵を開けた。



「わぁっっ!!」

そこに立っていたかぼちゃ頭に、カパエルは短い叫び声を上げた。



「何驚いてんだよ。
俺だ、ルディだ。
さっきから何度も見てんだろ!」

ルディは苛々とした口調でそう言うと、カパエルを突き飛ばすように部屋の中に押し入った。



「ルディ…どうしたの?
あれから二次会だって言ってなかった?」

「あぁ、そうさ。
あの後、俺は皆と二次会に行った。
そっちでもすっごい盛りあがって…
……って、そんなことはどうでも良いんだ!
それより、大変なことが起きちまったんだ!」

「大変なこと…?」

ルディは大きな頭でゆっくりと頷いた。



「カパエル……取れないんだ…こいつが…」

ルディは、大きなかぼちゃ頭を指差した。



「えっ?取れないって…どういうこと?」

「取れないったら取れないってことだよ!
良いから、こいつを思いっきりひっぱってみろ!」

「思いっきりひっぱれば良いんだね…?」

カパエルは両手でルディのかぼちゃ頭を抱えると、全力でそれを引っ張った。



「ぎゃああああああーーーーー!」

ルディの絶叫が部屋の中に響き、激しい一撃がカパエルの腹を蹴った。



「い…痛いじゃないか、ルディ。」

蹴り飛ばされたカパエルがうらめしそうにルディをみつめる。



「痛いのはこっちだ!
ここまで本気でやる奴があるか!!
あやうく死ぬとこだったぞ!」

「……だって、ルディが全力でって……
でも、なんで、取れないの…?」

「……きっと…これは魔女の呪いだ…」

「えっ!の、呪い…?
なんで??
なんで、ルディが呪われるの?」

「なんでだとぉ!?
こうなったのもすべてはおまえのせいなんだぞ!!」

「ええええーーーーー!?」

カパエルは小首を傾げ、その理由を考える…
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

とある令嬢の断罪劇

古堂 素央
ファンタジー
本当に裁かれるべきだったのは誰? 時を超え、役どころを変え、それぞれの因果は巡りゆく。 とある令嬢の断罪にまつわる、嘘と真実の物語。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

いまさら謝罪など

あかね
ファンタジー
殿下。謝罪したところでもう遅いのです。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

処理中です...