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魔法のパイ屋さん
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「く、くそぉ!
じゃ、今から仮装して来れば良いんだな?
そうすりゃあ食べ物も酒もただで飲み食いさせてくれるんだな?」
「ええ、仮装さえして来て下さったら、いつでも歓迎致しますよ。」
「ようし、じゃ、すっごい仮装して戻って来るから、覚悟して待ってやがれ!」
的外れな捨て台詞を吐き、ルディはどこかへ走り去った。
*
(畜生~~!
こうなったら、ものすごい仮装をして優勝して賞金をふんだくってやる!!
……とは言っても、どうしよう…
仮装の道具を買う金もないし…)
何か使えそうなものはないかと町の中を見回すルディの瞳に、子供の持ったかぼちゃのランタンが映った。
(そうだ!
かぼちゃ男の仮装にしよう!
さっきの山にあったかぼちゃをくすねて、それをかぶって…後は、布をマント代わりにすりゃあバッチリだ!)
ルディは、町の中を走り出した。
かぼちゃを取って来た後も、中身を繰り出さなくてはいけない。
カパエルはもうすでにパーティ会場でうまいものを食べているのだと思うと、焦りが込み上げ、ルディの足はもつれた。
「あ……」
小石につまずき派手に転んだルディに、一人の男が優しく手を差し伸べる。
「大丈夫か……って、あ、あんたはさっきのカッパの仮装の子供を連れてたおっさんじゃないか!
そんなに急いでどこに行くんだ?」
「……ちょっとあの山に忘れもんをしてな…」
おっさん扱いされたこと、カパエルの親だと思われたことに怒りを感じながらも、ルディは冷静に答えた。
「あの山に…?
何を忘れたのか知らないが、気を付けて行くんだぜ。
あそこにはおっかない魔女が住んでるからな!」
「ま、魔女が?
ど、どこに住んでるんだ?」
「あんた知らないのか?
広いかぼちゃ畑の傍の小屋にだ。
悪い事は言わねぇ…あのかぼちゃ畑には決して近付くなよ!」
「そ、そうだな、ありがとうよ。」
(あれは魔女のかぼちゃ畑だったのか…それはまずいな…
だけど、みつからなきゃ大丈夫だよな。
なぁに、あれだけ広いんだ。
隅っこのを一つだけ取って、素早く逃げて来りゃあなんてことないさ!)
ルディは山道を駆け上がり、周囲に誰もいないことを確かめると、身をかがめ、ちょうど良い頃合のかぼちゃをもぎ取り、布に包んで再び全速力で駆け出した!
じゃ、今から仮装して来れば良いんだな?
そうすりゃあ食べ物も酒もただで飲み食いさせてくれるんだな?」
「ええ、仮装さえして来て下さったら、いつでも歓迎致しますよ。」
「ようし、じゃ、すっごい仮装して戻って来るから、覚悟して待ってやがれ!」
的外れな捨て台詞を吐き、ルディはどこかへ走り去った。
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(畜生~~!
こうなったら、ものすごい仮装をして優勝して賞金をふんだくってやる!!
……とは言っても、どうしよう…
仮装の道具を買う金もないし…)
何か使えそうなものはないかと町の中を見回すルディの瞳に、子供の持ったかぼちゃのランタンが映った。
(そうだ!
かぼちゃ男の仮装にしよう!
さっきの山にあったかぼちゃをくすねて、それをかぶって…後は、布をマント代わりにすりゃあバッチリだ!)
ルディは、町の中を走り出した。
かぼちゃを取って来た後も、中身を繰り出さなくてはいけない。
カパエルはもうすでにパーティ会場でうまいものを食べているのだと思うと、焦りが込み上げ、ルディの足はもつれた。
「あ……」
小石につまずき派手に転んだルディに、一人の男が優しく手を差し伸べる。
「大丈夫か……って、あ、あんたはさっきのカッパの仮装の子供を連れてたおっさんじゃないか!
そんなに急いでどこに行くんだ?」
「……ちょっとあの山に忘れもんをしてな…」
おっさん扱いされたこと、カパエルの親だと思われたことに怒りを感じながらも、ルディは冷静に答えた。
「あの山に…?
何を忘れたのか知らないが、気を付けて行くんだぜ。
あそこにはおっかない魔女が住んでるからな!」
「ま、魔女が?
ど、どこに住んでるんだ?」
「あんた知らないのか?
広いかぼちゃ畑の傍の小屋にだ。
悪い事は言わねぇ…あのかぼちゃ畑には決して近付くなよ!」
「そ、そうだな、ありがとうよ。」
(あれは魔女のかぼちゃ畑だったのか…それはまずいな…
だけど、みつからなきゃ大丈夫だよな。
なぁに、あれだけ広いんだ。
隅っこのを一つだけ取って、素早く逃げて来りゃあなんてことないさ!)
ルディは山道を駆け上がり、周囲に誰もいないことを確かめると、身をかがめ、ちょうど良い頃合のかぼちゃをもぎ取り、布に包んで再び全速力で駆け出した!
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