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魔法のパイ屋さん
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カパエルの真面目で効率的な働きぶりに、魔女もすっかり打ち解け、信頼するようになっていた。
この時期、魔女や魔法使いの間では、魔法のかぼちゃパイを食べる風習があり、これを食べると魔力が上がると言い伝えられているらしい。
ある時、売上げアップを狙って購入者にかぼちゃのランタンをプレゼントで付けた所、この魔女のパイは狙い通り注文が殺到し、それどころか、いつの間にか、かぼちゃのランタンは無病息災の縁起物とされるようになってしまい、それ以来、そのプレゼントをやめることも出来なくなったのだという。
「昔はおまえさん達みたいに、わしのかぼちゃを勝手に持っていく不届きな人間が多かった。
だから、呪いを解いてやる代わりにと働けと言ってそういう輩に手伝わせることも出来たんじゃが、いつの間にか、わしもこのあたりでは知られるようになってしまってのう…
かぼちゃを持って行く奴も居なくなってしまったんじゃ。
きつい仕事なだけにバイトに来てくれる者もなく、普段は魔法を使って、収穫、製造、配達までをどうにかこうにかやっとるんじゃが、わしももう年じゃ。
これだけの作業をする魔法を使うと、後が堪えてのう…
じゃが、おまえさんのおかげで、今年はわしは配達だけやってりゃ済むんじゃから、どれだけ楽かわからんぞ。
本当にどうもありがとうよ。」
魔女は優しくカパエルの皿を撫ぜた。
「僕ね、頭悪いからいつもルディや周りの人に迷惑かけてばっかりなんだけど、こういう作業だけは迷惑かけずになんとかやれるんだ。」
「ほんにおまえさんの料理の腕はたいしたもんじゃ。
それに、ランタンも…
おまえさんは、なにかの職人なのかえ?」
「ううん、僕、ただのかっぱだよ。」
にっこりと微笑むカパエルに、魔女も同じように微笑を返した。
「ほんに、おまえさんは良い子じゃな。
このペースで行くと、あと二、三日で終わる筈じゃ。
頑張っておくれよ。」
「うん!僕、頑張る!!」
この時期、魔女や魔法使いの間では、魔法のかぼちゃパイを食べる風習があり、これを食べると魔力が上がると言い伝えられているらしい。
ある時、売上げアップを狙って購入者にかぼちゃのランタンをプレゼントで付けた所、この魔女のパイは狙い通り注文が殺到し、それどころか、いつの間にか、かぼちゃのランタンは無病息災の縁起物とされるようになってしまい、それ以来、そのプレゼントをやめることも出来なくなったのだという。
「昔はおまえさん達みたいに、わしのかぼちゃを勝手に持っていく不届きな人間が多かった。
だから、呪いを解いてやる代わりにと働けと言ってそういう輩に手伝わせることも出来たんじゃが、いつの間にか、わしもこのあたりでは知られるようになってしまってのう…
かぼちゃを持って行く奴も居なくなってしまったんじゃ。
きつい仕事なだけにバイトに来てくれる者もなく、普段は魔法を使って、収穫、製造、配達までをどうにかこうにかやっとるんじゃが、わしももう年じゃ。
これだけの作業をする魔法を使うと、後が堪えてのう…
じゃが、おまえさんのおかげで、今年はわしは配達だけやってりゃ済むんじゃから、どれだけ楽かわからんぞ。
本当にどうもありがとうよ。」
魔女は優しくカパエルの皿を撫ぜた。
「僕ね、頭悪いからいつもルディや周りの人に迷惑かけてばっかりなんだけど、こういう作業だけは迷惑かけずになんとかやれるんだ。」
「ほんにおまえさんの料理の腕はたいしたもんじゃ。
それに、ランタンも…
おまえさんは、なにかの職人なのかえ?」
「ううん、僕、ただのかっぱだよ。」
にっこりと微笑むカパエルに、魔女も同じように微笑を返した。
「ほんに、おまえさんは良い子じゃな。
このペースで行くと、あと二、三日で終わる筈じゃ。
頑張っておくれよ。」
「うん!僕、頑張る!!」
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