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魔法のパイ屋さん
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「ほんにこの男は……」
魔女はルディを睨み付けながら、ブツブツと小さな声で何かを呟いていたが、やがて、カパエルの方に向き直りにっこりと微笑んだ。
「カパエルや、今まで手伝ってくれて本当にありがとうよ。
さぁ、これをお食べ。」
魔女は、焼き立ての二つのパイと煎れ立てのお茶の載ったトレイを抱えていた。
「カパエルはこっち、おまえはこっちじゃ!」
「わぁ、おいしそう~!!」
立ち上るかぼちゃの甘い香りに誘われ、カパエルはパイを一口頬張った。
「おいしい~!!
おばあちゃん、これ、ものすごくおいしいよ!」
カパエルの言葉に、魔女は嬉しそうな微笑を返す。
「おまえ…よく、こんなもんが食えるな…
この中にはいもりやら、こうもりやら、さそりやら…うっぷ…」
パイをみつめるルディの頬を一筋の冷や汗が伝う。
「馬鹿者!あれは魔法使いや魔女のための特別なパイにのみ入れるもんじゃ。
おまえらみたいな人間に、貴重な魔女のパイを食べさせるものか。
これはごく普通のパンプキンパイじゃから、安心せい!」
「本当かぁ…?」
ルディは、フォークでパイをあちこちをほじくったが、魔女の言葉通り、種以外のものはみつからなかった。
「……いやなら食べんでもええんじゃ。
その代わり、わしもその頭は取らんからな!」
魔女の口端があがり、皮肉な微笑が宿る。
「畜生~!!足元見やがって…!!
食えば良いんだろ!食えば……!」
ルディは、パイを口の中にかきこみ、さらにお茶で流しこんだ。
「かーーーっ!なんだ、この味…苦い…ぺっ!」
「えぇっ?そう?
僕はとってもおいしかったけど…」
「おまえ、馬鹿なだけじゃなくて、味覚も狂ってやがんな。
こんなもんがうまいとは……」
魔女は、ルディのその言葉に俯き、肩を震わせて笑いを堪える。
魔女はルディを睨み付けながら、ブツブツと小さな声で何かを呟いていたが、やがて、カパエルの方に向き直りにっこりと微笑んだ。
「カパエルや、今まで手伝ってくれて本当にありがとうよ。
さぁ、これをお食べ。」
魔女は、焼き立ての二つのパイと煎れ立てのお茶の載ったトレイを抱えていた。
「カパエルはこっち、おまえはこっちじゃ!」
「わぁ、おいしそう~!!」
立ち上るかぼちゃの甘い香りに誘われ、カパエルはパイを一口頬張った。
「おいしい~!!
おばあちゃん、これ、ものすごくおいしいよ!」
カパエルの言葉に、魔女は嬉しそうな微笑を返す。
「おまえ…よく、こんなもんが食えるな…
この中にはいもりやら、こうもりやら、さそりやら…うっぷ…」
パイをみつめるルディの頬を一筋の冷や汗が伝う。
「馬鹿者!あれは魔法使いや魔女のための特別なパイにのみ入れるもんじゃ。
おまえらみたいな人間に、貴重な魔女のパイを食べさせるものか。
これはごく普通のパンプキンパイじゃから、安心せい!」
「本当かぁ…?」
ルディは、フォークでパイをあちこちをほじくったが、魔女の言葉通り、種以外のものはみつからなかった。
「……いやなら食べんでもええんじゃ。
その代わり、わしもその頭は取らんからな!」
魔女の口端があがり、皮肉な微笑が宿る。
「畜生~!!足元見やがって…!!
食えば良いんだろ!食えば……!」
ルディは、パイを口の中にかきこみ、さらにお茶で流しこんだ。
「かーーーっ!なんだ、この味…苦い…ぺっ!」
「えぇっ?そう?
僕はとってもおいしかったけど…」
「おまえ、馬鹿なだけじゃなくて、味覚も狂ってやがんな。
こんなもんがうまいとは……」
魔女は、ルディのその言葉に俯き、肩を震わせて笑いを堪える。
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