あれこれ短編集

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
39 / 406
聖夜の鐘

12

しおりを挟む
「レイラ…考えてみたら、僕達、最高に幸せだね。
だって、どんなに愛し合った夫婦でも、なかなか一緒には逝けるもんじゃないよ。」

そう言ってエディは微笑んだ。



「エディの馬鹿…こんな時に冗談言うなんて…」

「……冗談じゃないよ。
本心だってば。
今まで、僕はなんて運が悪いんだろうって思ってたけど、君の話を聞いてそうじゃないって思ったんだもの。
僕はこの世でもたくさんの人に愛されて、そして、最期の時には最愛の人と逝けるんだから、運が悪いなんて言えないよね。
君はどうだった?
病気で苦しんで辛い人生だった?」

「……そうね。
病気になってからは辛い事ばかりだったけど…でも、今になって思い出されるのはその間に家族が私にしてくれたことよ。
私が愚痴っても泣いても喚いても…どんな時にも私をいつも支えてくれた。
それを考えると、私、不幸じゃなかったと思えるわ。
もちろん悔いがないわけじゃないけど、病気で苦しんだのも五年だけよ。
生まれてからずっとそうだったわけじゃない。
それに…最期はあなたとこんな素敵なクリスマスを過ごせたんですもの。
これ以上、文句は言えないわよね。」

エディは、レイラをみつめ小さく笑った。



「何?どうして笑うの?」

「君にしては前向きな考えだなって思ってね。」

「……あなたの性格が移ったのよ、きっと。」

レイラもエディと同じように微笑み、肩をすくめる。



「……じゃあ、そろそろいこうか…」

「……そうね。」

 満ち足りたみつめあい手を取り合った二人の身体は、真っ白な雪の降る中をゆっくりと天へ上って行く…







「あら…この鐘の音…
もしかして、丘の鐘、修理されたの?」

「違うだろ。
あれはもうひびが入って直せないとか聞いたよ。
きっと、他の所の鐘だよ。」

「そうかしら…?
でも、だとしたら、一体どこの鐘なのかしら…?
それにしても、とても素敵な音ね…」

「そうだね。
まるで、僕達を祝福してるみたいだね!」

「まぁ、マルコったら!」

人々は、どこからともなく響き渡る美しい鐘の音に、それぞれが幸せな想いを胸に抱いた。
その鐘をついた二人が、今、天に向かって旅立ったことを気付く者は、誰一人としていなかった……




~Fin~ 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

処理中です...