あれこれ短編集

ルカ(聖夜月ルカ)

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贈り物配達うさぎ

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「ほんに可愛いうさ公じゃ。」

ラパンのふかふかした頭をぐりぐりと撫で回す老人の手を、ラパンはうるさそうに頭を振って振り払う。



「もうっ!何すんだよ。
馴れ馴れしいな。
……それで、あんた誰?
ボクに何か用?」

明らかに不機嫌な様子でそう訊ねたラパンに、老人は微笑み、ゆっくりと答えた。



「わしは、贈り物の神様じゃ。」

「あんたが神様だって?」

ラパンは鼻に皺を寄せ、長い前歯をむき出した。



「わしは神様に見えんかね?」

「あぁ、全然見えないね。
まぁ、確かにその髭は少し神様らしいと言えないこともないけど、神様がこんな所に来る筈ないもの。」

「そうかのぅ?
わしは、おまえさんに贈り物をやろうと思ってやって来たんじゃが…」

「贈り物?
そんなもの欲しくないね。
ボクの家はものすごいお金持ちだし、なんだってある。
ありすぎて邪魔なくらいだよ。
それに、万一持ってないものだって、ボクはほしいものならなんだって手に入れられるもの。」

その言葉に、老人は少し寂しそうな苦笑いを浮かべた。



「うさ公、贈り物っていうのは全く同じものだったとしても、自分で買う物とは違うんじゃよ。
なんせ、贈り物には送り主の想いがこもっているからな。
喜んでほしい、元気になってほしい、幸せになってほしい…様々な想いがな…」

「あんた、ロマンチストなんだね。
でも、結局、贈り物だって物は物だよ。
誰だって、高価な物であればある程喜ぶんだ。」

ラパンは、高飛車な口調でそう言うと、短い親指を立てしたり顔で老人をみつめた。



「そんな風にしか思えんとは…可哀想なうさ公じゃな…
おまえはきっと今まで本当の『贈り物』をもらったことがないんじゃな。」

「だから、さっきも言ったろ?
ボクはなんでも持ってるから贈り物なんて興味ないんだ。
おいしいものだって毎日食べてるし、この世界も隅から隅まで旅行した。
どんな珍しいものだってボクはなんだって知ってるし、そんなボクに欲しいものなんてあるはずないだろ。」

気分を害したのか、ラパンの声はさらに感情的で高い声になっていた。



「では…わしがおまえに良いものをやろう。
もしも、それがおまえの持っていないものだったら、おまえはそれを受け取ることになる…
おまえには嘘が吐けない。
……それでも良いかな?」

老人の穏やかな表情は変わらなかったが、今までとはどこか違うその声に、ラパンの表情は強張りながらも、小さくこくりと頷いた。 
 
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