あれこれ短編集

ルカ(聖夜月ルカ)

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日記帳

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 (頼む!なんとか間に合ってくれ!)

ランディは、苦しい息にも懸命に耐え、競馬場までの道程を走り続けた。
 着いたのはちょうど券売所の窓が閉じられようとしている所で、ランディはポケットから有り金を全部出し、窓口に差し出した。



 「何番ですか?」

 2番と言いたいが息が上がって苦しくて声が出せずに、ランディは膝の上に手を着いて大きく息を整えた。
ちょうどそこへおかしな酔っ払いが顔を出し、「1番」と言い残し鼻歌を歌いながら去って行った。



 「はい、どうぞ。」

 差し出されたのは1番の券の束だった。



 「ち、ちが…
い、今のは……」

ランディの言葉も空しく、券売所の窓は無情に閉じられた。



 「違うんだ!
 今のは関係ない奴が…!」

ようやく息の整ったランディが窓を叩いたが、誰も応えてはくれなかった。



 (……最悪だ…
俺が買いたかったのは2番だったのに…)

 1番の券を握り締め、それを破り捨てたい衝動にかられながらも、懸命にそれを堪え、ランディはレース場へ向かった。



 (……もう金は一銭も残っちゃいない。
 俺は最悪の結果を辿ることになってしまったが、文無しじゃあ、第4レースの馬券を買うことは出来ない。
つまり、日記帳の言いなりにはならなかったってことだ。
 俺は、あのおかしな日記帳に勝ったんだ!)

それだけがランディの心の拠り所だった。



ファンファーレが高らかに鳴り響き、レースが始まる。
 愛用の双眼鏡で買うつもりだった2番の馬を見ると、どうも様子がおかしいことにランディは気が付いた。



 (アラビアンナイトはあんな馬じゃない。
もしかしたら直前に出走馬の変更でもあったのか?)



 不審に感じながらもランディはレースを見守った。
ランディの買った1番は最初こそあまり良い順位ではなかったが、後半になってぐんぐんと信じられない程速度を上げていく。



 (こいつはもしかしたら…)

 思い掛けない幸運にランディは胸を弾ませ、レースの行方を見守った。



 「やったーーーー!
 1着だ!」

 配当は大穴とまでは言えないもののずいぶんと良いものだった。
ランディは思わず飛びあがり、やがて大金へと変わる馬券に目をやった。



 「あっ!」

ランディは、その馬券に「第4レース」と書かれていることに気が付いた。
ギリギリに間に合ったと思ったのは、第3レースではなく第4レースの馬券だったのだ。



 (そ…そんな…
それじゃあ、俺は、あの日記にあった通り、第4レースの1番を買ってしまったってことなのか…)

ランディの手は震え、全身から力が抜けていくようだった。
しかし、みすみす大金を見過ごすわけにもいかず、ランディは重い足取りで換金所に向かった。
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