141 / 406
十字架の楽園
3
しおりを挟む
「……ごめんなさい…」
私が謝ると、ジョシュアは私の顔をしばらくみつめ、ぽつりと呟いた。
「…考えてみたら、おまえも被害者だよな。
おやじなんかに育てられたんじゃ、そんな風になるのも仕方のないことだ。
…おまえ、ここでの暮らしはどうなんだ?
楽しいことはあるのか?」
「…楽しいこと…」
ジョシュアにそう問われて、私はどう答えれば良いのかわからなかった。
毎日が楽しいかどうかなんて、そんなこと考えたことがなかったのだから。
いや、私にはそもそもどういうことが楽しい事なのかもよくわかっていないのかもしれない。
毎日、検査と勉強と運動。
ごくたまに、今日のように博士が散歩をすすめることがあるけど、それが楽しい事だとは思えなかった。
同じことの繰り返しの退屈な日々…
楽しくても楽しくなくても、私にはそれしかないのだから…
「やっぱり、そうか…」
何も答えられないでいる私に、ジョシュアがそんな言葉を投げかけた。
「やっぱり…って…」
「おまえは、大切な研究材料だからひどい事はされないだろうが、何一つ自由は与えられていない籠の鳥…そうなんだろ?」
「そんなことはないわ。
そりゃあ、毎日、決められてることもあるけど、それ以外は私は自由よ。」
私のその言葉をジョシュアは鼻で笑った。
「本当の自由っていうのはな、なんでも自分で考えて行動する事だ。
朝起きてからその日一日のスケジュールを決められ、用意されたものを着て、出されたものを食べて、決まった時間に眠る…どうせ、おまえの毎日はそんな所だろう?
おまえはいつ自分の頭で考えて行動してるんだ?
それに、おまえはこの屋敷から出たことがあるのか?
周囲には高い塀と鉄条網…
ここを見た者はきっと皆、ここが監獄だと思うだろうな。」
「そうじゃないわ。
鉄条網は私を守るために博士達が作ってくれたものよ。
私は、確かに博士達の研究の結晶よ。
私の秘密を探ろうとして誘拐を企てる学者達もいるかもしれない…だからそんな人達から私を守るために博士達が…」
「おまえは本当におめでたい奴だな。
博士達は、おまえのことなんて心配しちゃいない。
研究の成果を知られたくないだけだ。
奴らにとって大切なのは、研究だけなんだ。
おまえ自身のことなんてなんとも思っちゃいないんだ。
おまえのことを管理してるに過ぎないんだ。」
「…そんなことはないと思うわ…
博士達は、私のことを可愛い娘だって言ってくれてる。
私のために男性を作ってくれることになってるし、そのために博士達は毎日研究を重ねてくれてるのよ。
それも、私がその人と結婚して幸せになるためによ。
博士達は、私のことをとても考えてくれてるのよ。」
私が謝ると、ジョシュアは私の顔をしばらくみつめ、ぽつりと呟いた。
「…考えてみたら、おまえも被害者だよな。
おやじなんかに育てられたんじゃ、そんな風になるのも仕方のないことだ。
…おまえ、ここでの暮らしはどうなんだ?
楽しいことはあるのか?」
「…楽しいこと…」
ジョシュアにそう問われて、私はどう答えれば良いのかわからなかった。
毎日が楽しいかどうかなんて、そんなこと考えたことがなかったのだから。
いや、私にはそもそもどういうことが楽しい事なのかもよくわかっていないのかもしれない。
毎日、検査と勉強と運動。
ごくたまに、今日のように博士が散歩をすすめることがあるけど、それが楽しい事だとは思えなかった。
同じことの繰り返しの退屈な日々…
楽しくても楽しくなくても、私にはそれしかないのだから…
「やっぱり、そうか…」
何も答えられないでいる私に、ジョシュアがそんな言葉を投げかけた。
「やっぱり…って…」
「おまえは、大切な研究材料だからひどい事はされないだろうが、何一つ自由は与えられていない籠の鳥…そうなんだろ?」
「そんなことはないわ。
そりゃあ、毎日、決められてることもあるけど、それ以外は私は自由よ。」
私のその言葉をジョシュアは鼻で笑った。
「本当の自由っていうのはな、なんでも自分で考えて行動する事だ。
朝起きてからその日一日のスケジュールを決められ、用意されたものを着て、出されたものを食べて、決まった時間に眠る…どうせ、おまえの毎日はそんな所だろう?
おまえはいつ自分の頭で考えて行動してるんだ?
それに、おまえはこの屋敷から出たことがあるのか?
周囲には高い塀と鉄条網…
ここを見た者はきっと皆、ここが監獄だと思うだろうな。」
「そうじゃないわ。
鉄条網は私を守るために博士達が作ってくれたものよ。
私は、確かに博士達の研究の結晶よ。
私の秘密を探ろうとして誘拐を企てる学者達もいるかもしれない…だからそんな人達から私を守るために博士達が…」
「おまえは本当におめでたい奴だな。
博士達は、おまえのことなんて心配しちゃいない。
研究の成果を知られたくないだけだ。
奴らにとって大切なのは、研究だけなんだ。
おまえ自身のことなんてなんとも思っちゃいないんだ。
おまえのことを管理してるに過ぎないんだ。」
「…そんなことはないと思うわ…
博士達は、私のことを可愛い娘だって言ってくれてる。
私のために男性を作ってくれることになってるし、そのために博士達は毎日研究を重ねてくれてるのよ。
それも、私がその人と結婚して幸せになるためによ。
博士達は、私のことをとても考えてくれてるのよ。」
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる