あれこれ短編集

ルカ(聖夜月ルカ)

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十字架の楽園

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仕事が終わる頃に迎えに来ると言ってジョシュアは店を出て行った。



「いくらなんでもそれじゃまずいね…
こっちにおいで。」

女主人に連れられて、奥の部屋に行った私は真っ赤なドレスに着替えさせられた。
今まで着たことのないような胸の大きく開いた裾の長いドレスだ。



「ちょっと大きいけど、まぁ、なんとかなるね。
しばらくはそれを着ときな。
あとは…と。」

今度は鏡の前に座らせられた。



「それを貸してあげるから、適当に化粧をしな。」

「あの…化粧ってどうやれば…」

「あんた、18にもなって化粧もしたことないのかい?」

女主人は呆れた顔をしながら、私に化粧を施した。
しばらくして鏡に映った自分は、まるで今までの私じゃないようで、私は不思議な興奮を覚えた。



「いいかい、あんたの仕事は男達の酒の相手だ。
多少、嫌な事があっても適当にあしらっとくんだよ。」

「適当に…あしらう…?」

「わからない子だね…つまり…怒らさないようにしとけば良いんだよ!」

「はい、わかりました。」

「わからないことは、その都度、ミッシェルに聞きな。」



店が開くまで少し時間があったので、私は女主人にお酒のことを教えてもらった。
博士達は誰もお酒を飲まなかったから見たことはなかったのだけど、そういうものがあることは知っていた。
だけど、お酒にこんなにたくさんの種類があるとは…
私は、教えられる事をしっかりと頭に刻み付けていった。



「あ、ミッシェル。
この子は、今日から入ったリリィ。
いろいろ教えてやっておくれ。」

「はい、おかみさん。」

店に入って来たのは、小柄な若い女性だった。
顔はそれほど綺麗ではなかったけど、穏やかな笑顔は優しそうに見えた。



「リリィ、私はミッシェル。
よろしくね。」

「こちらこそ、よろしくお願いします。」

それから数人の女性が店に入って来て、私はその度に自己紹介をした。
どの女性も、皆、髪が長く似たようなドレスを着ている。

しばらくすると、最初の客がやって来た。
体格の良い若い男だ。
その男が店に入っただけで、店の中に酒の臭いが広がった。
すでに相当飲んでいる様子だ。



「サム、いらっしゃい。
今日も早いんだね。」

「酒は暗くなってからなんて誰が決めたんだ?
明るいうちから飲んで何が悪い!」

「誰も悪いなんて言ってないさ。
それどころか、うちはたくさん飲んでもらった方が助かるんだ。
どんどん飲んでおくれよ。」

「抜け目のないばばぁだな…
ん……新入りか?」

男の目が私に停まった。
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