あれこれ短編集

ルカ(聖夜月ルカ)

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十字架の楽園

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「リリィ…やっと会えた…」

「ジョシュア!!」

ジョシュアは初めて私の身体を抱き締めた。
突然の再会だった。



「ずっと探してたんだ、リリィ…
リチャードって男のことを調べているうちに、あいつがとんでもない男だってことがわかって心配してたんだが、こんなことになってるなんて…
なんてことだ…!!可哀想に…リリィ…」

ジョシュアが泣いてる…
私のことを嫌い、酷いことばかりしていたジョシュアが私のことを可哀想だと言って泣いていることが、私には信じられない想いだった。
だけど、ジョシュアの涙は温かく、懐かしいその顔を見ると、いつの間にか私の瞳からも涙がこぼれていた。
その晩は一晩中、お互いのことを話し合った。
いや、ほとんど私が話すばかりで、ジョシュアは黙って私の話を聞いていてくれた。



「リリィ、少しだけ待っててくれ。
必ず、おまえを助けに来るから、俺を信じて待っていてくれ!」

次の朝、ジョシュアはそう言い残して店を出て行った。



ジョシュアの言う事を信じたい。
でも、それはとても難しいことのように思えた。
店には用心棒のような屈強な男達がいて、始終女達に目を光らせている。
逃げようとした者は見せしめのように酷いリンチを受けるので、女達はめったなことではここを逃げ出そうなんてことは考えない。
ジョシュアもきっとそんなことはわかっているだろうから、あの言葉は私を勇気付けるために言っただけのものなのかもしれない。







ジョシュアが店を訪れてから一月余が過ぎたが、あれからジョシュアは店には来なかった。
特に大きな落胆はなかった。
むしろ、やっぱり…といった気持ちの方が大きかった。
ここから逃げ出すなんてことは、不可能に近いことなのだから。







「リリィ!遅くなってすまねぇ!」

ある日、突然にジョシュアが再び店にやってきた。



「ジョシュア…!
本当に来てくれたの?!」

「当たり前だろ!
いいか、しっかり聞くんだぞ!
準備が出来たら俺は便所に行くふりをして下で騒ぎを起こす。
騒ぎが聞こえたら、窓からこのロープを伝って町の外まで逃げるんだ!
町の外の林の中に荷馬車が隠してある。
俺もすぐに行くから、それに乗って待ってるんだ。
わかったな!」

ジョシュアは、ロープの端をベッドの脚に括り付け、窓の鍵を壊しながら早口でそうまくしたてた。



「出来るだけ走りやすい服装でいくんだぞ!」

「わかったわ!」

私は、ドレスを脱ぎ捨て黒いスリップ姿にショールを巻き、靴をはいた。
すべての準備が整いしばらくして、ジョシュアは不意に立ちあがった。

 
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