あれこれ短編集

ルカ(聖夜月ルカ)

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ハーフハートチョコレート

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(なんて所だ…)

地図に描いてあるアパートまでは、歩いて二時間近くもかかった。
全身を覆う大量の脂肪のせいで、着いた頃には俺は汗だくになっていた。
こんなことなら、さっきリュウから金をもらって、タクシーでくれば良かったと後悔したが、今更そんなことを言っても仕方がない。
あの時は、俺のプライドが邪魔をしたんだ。
 汗を拭い、痛む足をひきずりながら、亀田の部屋があるアパートの二階へ上る。
鍵を開けて中に入った途端、嫌なにおいが鼻をついた。
それは、台所の隅に積まれたゴミ袋からの異臭だと思われた。



(ゴミくらい、ちゃんと出せよ!)

亀田への怒りをたぎらせながら部屋へ入ると、そこは足の踏み場もないような有様だった。
パソコンの前に、人一人がかろうじて座れるような窪みがあった。
おそらく、そこが亀田の定位置なのだろう。
とてもじゃないがそこには座る気になれず、とにかく掃除をしようと思ったが、どうにも喉が乾き、俺は飲み物を探そうと冷蔵庫を開いた。
しかし、その中はまるでごみためのような状態で、干からびた得体の知れない物がいくつかとマヨネーズ等の調味料が入っているだけだった。
諦めた俺は、次に亀田の財布を探した。
幸い、それは玄関の棚からすぐにみつかったが、中身を見て、俺は愕然とした。
財布には千円札が三枚と小銭しか入っていなかったのだ。



(まさか、たったこれっぽっちで月末まで過ごせっていうのか?)

こんなもの、昼食代にもならない額だ。
飲み物を買ってる場合ではない。
仕方なく、俺は水道の水をがぶがぶと飲んだ。
水道水を飲むなんて、幼い子供の頃以来のことだ。
腹を壊さなければ良いが…と考えながら、俺はすぐに掃除に取りかかった。
腹も相当に減ってはいたが、ここにろくな食べ物はない。
無造作に置かれたレジ袋の中に、大量のスナック菓子と甘い炭酸飲料が入っているのを発見したが、俺は普段からこの手のものは口にしないと決めている。
こんなものを食べるくらいなら、我慢した方がマシだ。

 
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