あれこれ短編集

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
349 / 406
星屑の欠片

しおりを挟む
(ケヴィン…それは違うと思うよ。
 考えてもごらんよ。
 彼女はなぜ病気のことをずっと君に隠してたんだと思う?)

 「またそれか…
それなら、彼女の両親に言われたよ。
ジョゼットは俺と会ってる時は、楽しくて病気のことを忘れることが出来たんだって。
 俺と出会って生きる力をもらったから、医者の見立てより一年以上長く生きられたんだって。
でも、それは、周りの皆がそう思ってるだけさ。
そう思いたいか、俺のことを気遣ってくれてるだけなんだ…!
ジョゼットがそう言ったわけじゃない!!」

ケヴィンの感情は高ぶり、握り締めた拳は小刻みに震えていた。



 (ケヴィン…)

 「俺…本当にもう駄目なんだ…
頑張って、頑張って、頑張り過ぎて…俺にはこれ以上頑張れる力が残ってない…
ジョゼットに会いたい…
ジョゼットのいない世界は辛過ぎるよ…楽になりたい…
雪だるまくん、俺は…もう誰がなんと言おうと駄目なんだ…」

 (ケヴィン、君がどれほど頑張って来たか…僕にはよくわかるよ。
そうだ!これからは少し考え方を変えてみたらどうだい?
 頑張らなくて良いんだ。
 毎日、泣いたって良い。
ジョゼットのことを忘れようとしなくても良い。
だって、彼女は君の大切な人だもの。
いや…違う…忘れちゃ駄目なんだ。
 君が彼女のことを覚えてる限り、ジョゼットは君の心の中で生きていられるんだもの。
これからは無理をせず、ただ生きることだけを考えてみないか?)

 「ありがとう、雪だるまくん。
でも…それは無理だよ。
 彼女のいない世界で、生きていてどうなるっていうんだ?
 心の中だけなんて、寂し過ぎるよ…」

 (生きてることはとても幸せなことだよ。
ここは一年中寒い冬だけど、それでもほんの少し暖かい日もあれば、雪が降り止まない日もある。
 三日月の日も満月の日もある。
 小鳥が遊びに来る事もある。
そんな小さな変化でも僕は楽しいと思うんだ。
それにね…たまにだけど人間が来てくれることもある。
 今日はコミュニケーションの取れる君みたいな人間が来てくれた。
 最高だよ!
 今日は、僕が生きて来た中で、一番幸せな日さ!)

 「こんな所にひとりぼっちでいて、この次は何年後に来るかわからない人間を待つのが幸せだって言うのか?」

 (そうだよ。
ねぇ、ケヴィン、君もしばらくこの土地にいたらどう?
ここにいたら、星の力で生きていく力が強くなると思うんだ。
 僕と一緒に楽しい事をおしゃべりしようよ!)

 「……本当に、おまえは変わってるな。
 俺なんかのために、そんな必死になって…」

ケヴィンは、哀しげに微笑むと、バッグの中から薬瓶を取り出した。
それを手にあけ、ポケットのウィスキーで一気に流しこむ。



 (ケヴィン!!)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

処理中です...