あれこれ短編集

ルカ(聖夜月ルカ)

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2007クリスマス企画

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「別に良いかっこするつもりはないんだけど…
前にね、テレビ見てたら『思い出の歌」みたいなのがやっててね。
いろんな人が自分の思い出の歌について語るって感じの番組だったんだけど、その中の一人の話が妙に心に残ったんだ。
その人の家は昔から貧乏で、それをなんとかしようと都会に出てきたんだけど、タクシーの運転手をしながら何年も一生懸命働いて、店を始めるために貯めたお金を持ってやっと田舎に帰るってその日にお金をすられてしまったんだって。
それでその人はもうすっかり絶望してしまって死ぬしかないって思ってた時に、どこかから流れてきた演歌を聞いて死ぬのを思いとどまったっていうんだ。
なんて題名だったかは覚えてないけど、その人のその時の気持ちにぴったりな歌詞で、今、ここで死んだら自分は楽になるけど、残された家族がその分苦しむことになる。
いつか皆で笑えるその日を信じて生きていこう、生きていさえすればどんなことだってまたやり直せる…っていう感じの歌詞だったらしいんだ。
それで、会社に事情を話してそれからまたそこで働かせてもらうことにして一生懸命働いて…
その人は今、ある会社の社長さんになってるって話だった。
あの時、あの歌を聞いたおかげで自分は今こうして生きていて、そしてやっと皆で幸せになることが出来たって話してた。
その話を聞いて僕も思い出したことがあるんだ。
 僕ん家も昔から貧乏で、恥ずかしい話なんだけど、クリスマスや誕生日にもケーキやプレゼントを買ってもらえなかったことがほとんどだったんだ。
でも、そんな時、何もない卓袱台を囲んで母さんと僕と弟とで歌を歌うんだ。
クリスマスだったらジングルベルだね。
そしたら、なにもなくてもなんかちょっとだけ楽しい気分になれたんだよね。
 今年はサンタさんは忙しくて来れなかったけど、きっと、来年は来てくれるって…そんな風に思えたんだ。
それを思い出して、そうか、歌にはすごく大きな力があるんだなって思った。
 昔から歌うことは好きだったけど、歌うことは自分が楽しくなれるだけじゃないんだ。
 他の誰かを元気付けたり、楽しくしてあげることも出来るんだって思ったら、なんかものすごく歌いたくなってね。
そんな時、たまたま沙騎に出会って、そこからバンドの話になってね。
まさに、これって必然ってやつ?!」
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