赤い流れ星

ルカ(聖夜月ルカ)

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side ひかり

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町のショッピングセンターにはほしいものが溢れかえっている。



 (あ…こんな服、シュウに似合いそう…
この靴もきっとシュウの趣味だ。
そういえば、シュウの足のサイズは何センチなんだろう?
バッグみたいなものもそのうちいるようになるね…)



ふと気が付くと、私が見ていたのはシュウのものばかり…
普段は、ゲームソフトや漫画やお菓子くらいにしか興味を示さない私が、今日のぞいてるのはメンズのお店ばかり…
そのことに気付いてしまうと、なんだか急に恥ずかしくなった。
いかんいかん…私…完全に惚れちまった…?
……でも、考えてみればそれも当然すぎる程、当然な話で…
だって、シュウは私の理想を100%詰めこんだキャラなんだもの。
いや、理想だけじゃない!
 愛情を注ぎこんだキャラでもある。
 好きにならないはずがないよね…

それにしても、好きな人のことって普段からこんなに気にかかるもんなんだろうか?
いろんなものを買ってあげたいって思うのは普通のこと?
それとも、私って貢ぎ女タイプだったのか?

 記憶を辿ると、うんと小さい頃に好きな男の子はいたような気がする。
でも、もうその子の名前も顔もぼんやりしてて、子供の頃のことだからなんで好きだったかも全く覚えてない。
きっと、理由なんてほとんどないに等しいんじゃないかな。
 多分、好きなキャラクターのついた服を着てたとか…そんなごくつまらないことのような気がする。
その後は……いない……
好きになったのは実在しない人物ばっかり。
だから、私にはよくわからない。
 今の自分の気持ちがどうなってしまってるのか…それがよくわからない…



あぁぁ…もやもやするなぁ…
歩き出した私は、ふと、ショーウィンドウに映りこんだ自分の姿に、なんとも言えない気分になって目を逸らした。



 私とシュウがラブラブな雰囲気でここを歩いてたら、周りの人達はどう思うだろう?

 趣味の悪い男…
あの女は金でも持ってるんだろうな。
ボランティアじゃない?

そんな所だろうな…
私にもわかってる。
こんな私、シュウと釣り合う筈なんてない。
でも、シュウは私のことが大好きで…それはきっと変わらない。
シュウに恥ずかしい思いをさせないためには、私がもっと綺麗にならなきゃならないんだろうけど…
私なんて、頑張った所でどうせたかがしれてる…
シュウに似合う女になんてなれない…

私は世界中の鏡をこの世から消し去りたい気持ちだった。
そんなことしても、何も変わりはしないってこともわかってたけど…

 
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