赤い流れ星

ルカ(聖夜月ルカ)

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side ひかり

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いろんなことを思い出しているうちに、ふと、あの時のことも思い出され……
私は、恥ずかしくなって、ぶんぶんと頭を振った。
でも…でも…それは振り払うにはもったいないようなすっごく幸せな記憶でもあって……
シュウの身体の温もりや、手の感触がまだはっきりと残ってる…



あぁぁ、恥ずかしい!
自分でも鼻の下が伸びていくのを感じ、私は再度頭を振った。
あの記憶は封印だ。
心の奥の宝箱に、鍵をかけて封じ込めておこう。



私は無理矢理に気持ちを切り替えて、別のことに想いをはせる。

うん…携帯のこともあれで良いんだ。
わざわざ携帯を買いにいったなんて言ったら、シュウはきっとそれを申し訳なく感じるだろうし、それにシュウの言った通りじゃないんだから……
それに、もしもあのまま「うん、実はそうなんだ」なんて言ったら、シュウはますます私のことが好きになって、も、も、もしかしたら歯止めがきかなくなって大変なことになってたかもしれない……
突如、頭に浮かんだ恥ずかしい妄想に私は顔が熱くなるのを感じた。
あぁ、なに考えてるんだ、私…!
私は起き上がり、窓辺で風にあたって顔のほてりを冷ました。



そんなことより、これからのことを考えなきゃ。
確かに携帯代はかかるけど、これからは食費を減らせばきっとそのくらいなんとかなる。
冷凍やレトルトのものを買うよりも、自分で作れば安いってシュウは言ってた。
でも、一人分から二人分になるわけだから、やっぱり節約はしないとだめか…
……そうだ、私がコーラとかお菓子をやめれば…でも、そんな急にはやめられない。
今までずっと長い間続けてきた習慣だもの。
……でも、急にやめることは無理でも少しずつ減らしていけば……



(ん……?)



その時、メールの着信音が響いた。
こんな時間に誰だろう?

それは登録されてないメアドだったから名前は出てなかったけど、「携帯ありがとな!」のタイトルで誰からかはすぐにわかった。
開いてみると、そこには手紙をくわえた犬が草原を走るのどかなデコメで、「登録しとけよ!」
という短い言葉とメアドが書いてあった。
シュウがデコメ…しかも、こんな可愛いデコメってことにちょっと笑ってしまった。

書かれていたメアドは「shoot-for-the-light」

なるほど…
愁斗をshootに置き替えたんだな。
lightは……あ……
もしかして、光は……私のこと??

えっと、光にシュートする??
英語があまり得意でない私は、翻訳サイトにアクセスして早速その文を翻訳してみた。



「光を目指せ」



光を目指せ…?
良い言葉だと思うけど…それって私に関係あるのかないのか…
私の心のもやもやはまた大きく広がった。
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