夢幻の騎士と片翼の王女

ルカ(聖夜月ルカ)

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俺が、女に手を伸ばした時…
乱暴に扉が開かれた。
その音に、扉の方に目を遣ると、そこには息を切らせたアドルフが立っていた。
 奴が俺の部屋を訪ねることなんて、滅多にないことだ。
それだけではない。
 奴の様子は、明らかにおかしかった。
 奴の灰色の瞳は、食い入るように女をみつめていた。
 女はそれに怯えたような表情を浮かべ、その場に立ち尽くす。
そこへ、アドルフは視線をはずすことなく真っすぐに近付いて来て…



「何をする!」

アドルフが、女の手を取り扉の方へ戻ろうとしたから、俺はその手を引き留めた。



 「この女は私がいただく。」

 一瞬、我が耳を疑った。
アドルフという男は、女に関心を示したことがなく、もしかしたら、奴は男が好きなのではないかと思っていたくらいだ。
そのアドルフが、女を欲しがったのだから。



 今までの俺なら、すぐに了承しただろう。
しかし、この女に関しては、なぜだかそうは言えなかった。



 「だ、だめだ。この女は俺のものだ。
この女のために、俺はゼリアに領土を与えた。」

 「領土がほしいのか?
それなら…」

 「そんなものはいらない。」

 「では何が欲しい?
 金か、宝石か?」



なぜだ?なぜ、奴はこれほどまでにこの女にこだわる?



 「私は何もいらない。
それより、貴方は、明日ジゼルと結婚する。
なのに、この女がほしいとはどういうことだ?」

 俺がそう言うと、アドルフは、眉をひそめ唇を噛み締めた。
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