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回想
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「私はアリシア…よろしくね。」
「よ、よろしく……」
小さな女の子を前にして、私は緊張しながらその手を握りしめた。
久しぶりに感じた人の温もりに、私の胸はいっぱいになっていた。
「ねぇ、あなたの名前は……」
「アリシア様ーーー!
アリシア様ーーーー!」
その時、数人の声が聞こえて来て、アリシアは声の方に向かって叫んだ。
「私はここです!」
私はその場から逃げた。
逃げる理由など何もないのに、人が来ると思ったら、今までの習慣でつい反射的に私は逃げていたのだ。
そのことから、私の心境に大きな変化があった。
悪事をやめ、まっとうに生きることを決意した。
黒かった髪を銀色に、瞳の色を灰色に変え、今まではあまり行かなかった都会へと向かった。
意外なことに、都会では魔導士は疎んじられる存在ではなかった。
人々に尊敬される存在だったのだ。
私はある魔導士の助手のような仕事に就き、そこでたくさんの本を読み、論理面での魔導の勉強もさせてもらった。
子供達に勉強を教えたり、魔導の力を人々のために使った。
そのうちに、城就きの魔導士として働いてみないかと推挙された。
当日は、百人を超える魔導士が集まっていた。
私のように若い魔導士は他にはいなかったが、その中から城就きの魔導士として抜擢された。
数日後、国王陛下ご夫妻と拝謁する機会が設けられた。
その時、私は我が目を疑った。
なぜならば、そこには国王陛下ご夫妻と一緒に、あのアリシアがいたのだから。
当時よりずいぶん大きくなり大人びていたが、私は彼女があの小さかったアリシアだと一目でわかった。
でも、まさか彼女が王女だったとは、夢にも思わなかった。
あの日以来、彼女はずっと私の心の中にいた。
だが、私はあの場所からずいぶんと遠い所まで来ており、「アリシア」という名前しか知らないあの少女と、また再会出来るなんて、考えてもいなかった。
「こちらが、先日、選ばれました魔導士のアルフレッドにございます。
まだ年は若いですが、大変優れた魔導の力の持ち主です。」
「そうか、アルフレッド…
この国のため、国民のため、良く働いてくれ。」
「ははっ!」
アリシアは、私のことをわかっていないようだった。
そのことには落胆したが、当時は少年だった私もアリシア同様とても変わっている。
身長もずいぶん伸び、髪や瞳の色も変わっているのだ。
わからないのも無理はない。
でも、いつか気付いてくれるかもしれない。
そしたら、私は話そうと思った。
アリシアのおかげで、人生をやり直すことが出来たことを。
彼女の存在が、私をずっと支えていてくれたことを…
「よ、よろしく……」
小さな女の子を前にして、私は緊張しながらその手を握りしめた。
久しぶりに感じた人の温もりに、私の胸はいっぱいになっていた。
「ねぇ、あなたの名前は……」
「アリシア様ーーー!
アリシア様ーーーー!」
その時、数人の声が聞こえて来て、アリシアは声の方に向かって叫んだ。
「私はここです!」
私はその場から逃げた。
逃げる理由など何もないのに、人が来ると思ったら、今までの習慣でつい反射的に私は逃げていたのだ。
そのことから、私の心境に大きな変化があった。
悪事をやめ、まっとうに生きることを決意した。
黒かった髪を銀色に、瞳の色を灰色に変え、今まではあまり行かなかった都会へと向かった。
意外なことに、都会では魔導士は疎んじられる存在ではなかった。
人々に尊敬される存在だったのだ。
私はある魔導士の助手のような仕事に就き、そこでたくさんの本を読み、論理面での魔導の勉強もさせてもらった。
子供達に勉強を教えたり、魔導の力を人々のために使った。
そのうちに、城就きの魔導士として働いてみないかと推挙された。
当日は、百人を超える魔導士が集まっていた。
私のように若い魔導士は他にはいなかったが、その中から城就きの魔導士として抜擢された。
数日後、国王陛下ご夫妻と拝謁する機会が設けられた。
その時、私は我が目を疑った。
なぜならば、そこには国王陛下ご夫妻と一緒に、あのアリシアがいたのだから。
当時よりずいぶん大きくなり大人びていたが、私は彼女があの小さかったアリシアだと一目でわかった。
でも、まさか彼女が王女だったとは、夢にも思わなかった。
あの日以来、彼女はずっと私の心の中にいた。
だが、私はあの場所からずいぶんと遠い所まで来ており、「アリシア」という名前しか知らないあの少女と、また再会出来るなんて、考えてもいなかった。
「こちらが、先日、選ばれました魔導士のアルフレッドにございます。
まだ年は若いですが、大変優れた魔導の力の持ち主です。」
「そうか、アルフレッド…
この国のため、国民のため、良く働いてくれ。」
「ははっ!」
アリシアは、私のことをわかっていないようだった。
そのことには落胆したが、当時は少年だった私もアリシア同様とても変わっている。
身長もずいぶん伸び、髪や瞳の色も変わっているのだ。
わからないのも無理はない。
でも、いつか気付いてくれるかもしれない。
そしたら、私は話そうと思った。
アリシアのおかげで、人生をやり直すことが出来たことを。
彼女の存在が、私をずっと支えていてくれたことを…
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