夢幻の騎士と片翼の王女

ルカ(聖夜月ルカ)

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愛しさと切なさと

side アドルフ

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(アリシア……)



 月の光に映し出される幽閉の塔を見上げ…
アリシアとの時間を思い出し、不意に、笑みがこぼれた。



やはり間違いなかった。
 姿かたちは変わっていても、あれは間違いなくアリシアだった。
 心の真ん中に宿る彼女の魂が、私の魂を強く揺さぶるのを感じた。



 今は異国の者となったアリシアだが、あの好奇心旺盛な瞳の輝きは当時と少しも変ってはいなかった。
 生まれ変わっても、やはり、受け継がれるものはあるのだと思えた。



しかし、あんなにおどおどして…
そのあたりは王女だったあの頃とは全然違う。
 王女だったアリシアは、子供の頃から威圧感のようなものを持っていた。
 今は、平民の娘のようだから、それも仕方のないことだが…
そういえば、異国の者とはいえ、アリシアのような者はいまだ会ったことがない。
どうやってここに来たのだろう?
どこの国の出身なのだろう?



また不意に笑みがこぼれた。



アリシアに訊きたいことはたくさんあったのに、今日の私は舞い上がっていて、何も聞けなかった。
 一体、どんなことを話しただろう?
そうだ…確か、天気のことや食事のこと…



(なんとくだらないことを話したことか…)



 自分の愚かさに苦笑した。
しかし、焦ることはない。
また明日も会えるのだ、明日だけではない、明後日も、またその先も…
あと半月が過ぎれば、あんなところではなく、もっと…



そうだ…アリシアに屋敷を与えよう。
 何もこんな窮屈な城に住まわせる必要はない。
どこか、景色の良いところに広い屋敷を建ててやろう。
それとも、ランダシアの別荘を与えようか…あそこなら、景色も広さも申し分ない。
あそこでアリシアと二人で暮らすのも良いかもしれない。
しかし、やはり新しい屋敷の方が良いだろうか?
あぁ、こんなことならもっと早くから取り掛かっておけばよかった。
とりあえず、明日、アリシアの意見を聞いてみよう。



 考える事すべてが楽しくて、遅い時間だというのに私は全く眠気を感じなかった。
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