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scene 6
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フォーラスはトレルの体を手に入れて、上機嫌だった。
石も無事、手元に返ってきた。
生意気なエルスールにも仕返しをしてやった。
後は捕らえた村人たちから、残る石の手掛かりを聞き出すばかりだ。
それが終われば、この村にも用はない。
自分の体の傷が癒えれば、この体にも…いや当分はこのままの方が安全だろう。
悪魔としての姿より、人間の姿の方がずっと動き易いというものだ。
フォーラスは『風に眠る炎』を袋から取り出す。
全部揃えれば…望みは叶う。
「早く見つけて、ワシを蔑む者たちを足元に跪かせてやる…」
フォーラスは声を上げて笑った。
一瞬、赤い宝石がチカリと瞬いた事に悪魔は気づかない。
☆
「何か変だぞ」
「どうしたんですか、おじさん」
リンクは台所の隅に木箱で作ってもらった、即席のベッドの上で唸った。
「海に眠る雫がざわめいてるんだ」
「ざわめいてるって…宝石ですよね、コレ」
アルグはキョトンとした目でリンクを見る。
「何だろう。何かに反応してるみたいなんだよ」
こんな現象は、今までに見た事がなかった。
手のひらに乗せると、微かに震えているような感覚が伝わってくるのだ。
「おじさん…それって悪魔が近くにいるとかっていう訳じゃないですよね?」
アルグは心配そうに呟いた。
その時。
…ガチャ…。
ランディの寝室のドアが開いて、2人は音のした方を見る。
「どうした、オルジェ。眠れないのか」
リンクが声をかけると、彼はハッとしたように立ち止まった。
「こんな夜更けに、どこへ行くんだ?」
「…散歩だよ」
「ふぅん。深夜の散歩って、服に着替えて行くもんなのか」
ピョンと木箱から出ると、リンクはテーブルの上に飛び乗る。
石も無事、手元に返ってきた。
生意気なエルスールにも仕返しをしてやった。
後は捕らえた村人たちから、残る石の手掛かりを聞き出すばかりだ。
それが終われば、この村にも用はない。
自分の体の傷が癒えれば、この体にも…いや当分はこのままの方が安全だろう。
悪魔としての姿より、人間の姿の方がずっと動き易いというものだ。
フォーラスは『風に眠る炎』を袋から取り出す。
全部揃えれば…望みは叶う。
「早く見つけて、ワシを蔑む者たちを足元に跪かせてやる…」
フォーラスは声を上げて笑った。
一瞬、赤い宝石がチカリと瞬いた事に悪魔は気づかない。
☆
「何か変だぞ」
「どうしたんですか、おじさん」
リンクは台所の隅に木箱で作ってもらった、即席のベッドの上で唸った。
「海に眠る雫がざわめいてるんだ」
「ざわめいてるって…宝石ですよね、コレ」
アルグはキョトンとした目でリンクを見る。
「何だろう。何かに反応してるみたいなんだよ」
こんな現象は、今までに見た事がなかった。
手のひらに乗せると、微かに震えているような感覚が伝わってくるのだ。
「おじさん…それって悪魔が近くにいるとかっていう訳じゃないですよね?」
アルグは心配そうに呟いた。
その時。
…ガチャ…。
ランディの寝室のドアが開いて、2人は音のした方を見る。
「どうした、オルジェ。眠れないのか」
リンクが声をかけると、彼はハッとしたように立ち止まった。
「こんな夜更けに、どこへ行くんだ?」
「…散歩だよ」
「ふぅん。深夜の散歩って、服に着替えて行くもんなのか」
ピョンと木箱から出ると、リンクはテーブルの上に飛び乗る。
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