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scene 6
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「トレルを探しに行くつもりなのか?」
「………」
「焦る気持ちも分からなくはないが、探すなら一人より皆と一緒の方が安全だし効率もいいぞ」
「………」
「おい、どうかしたのか?」
月明かりに浮かぶ彼の横顔があまりにも静かすぎて違和感を感じたリンクは、じっと様子を窺っていた。
「な、何かオルジェさんの様子おかしくありませんか?」
アルグがリンクの隣りに来て、そっと耳打ちする。
普段だったらもっと感情の起伏が激しいはずだし、何より表情も豊かな少年だったはずだ。
それともトレルの悪魔に憑かれた姿に、相当ショックを受けているのか。
とにかく、口数が少ないのが気になった。
彼の肩に飛び乗ろうとリンクが反動をつけた瞬間、
「わっ!!」
突如、手に握りしめていた宝石が眩い光を放ち出す。
「おじさん!!」
ビックリしてアルグが叫んだ。
指の隙間から漏れる青い光は、ますます強さを増していく。
それと共にビリビリとした痛い感覚に我慢できず、リンクはゆっくりと手を開いた。
力の渦が宝石から放たれ、オルジェの体を包み始める。
青い光の中に浮かび上がったオルジェの姿に、リンクもアルグも言葉を失った。
鋭い眼光、薄く笑みを浮かべた唇…そこには少年らしさを残した彼は、どこにもいない。
「オレの力を返して貰おう…」
低い声音。
力の渦に捲かれたオルジェの柔らかな髪が、さわさわと揺らめく。
「これはオレの元へ帰りたがって騒いでいる…」
「ダ、ダメだ!!これはオベロン王へ届けなければいけないんだ」
気丈に答えるも、得体のしれない恐怖にリンクの体は震えた。
オルジェの華奢な手が真っ直ぐに、リンクの持つ宝石へと伸びてくる。
「おじさん、逃げて!!」
けれどリンクは動けなかった。
宝石はオルジェの手へと渡る。
驚いた事に、その手の中で美しく輝きを増した青い石は、歪な形から綺麗な球体へと変化した。
「今までフォーラスから守ってくれた事に感謝する」
言うと、オルジェは『海に眠る雫』を親指と人差し指でつまみ、何の躊躇いもなく口に運ぶとゴクリ飲み込んだ。
「あーっ」
「あぁっ!!」
目の前で起こった信じられない出来事に、リンクとアルグは呆然とする。
そんな二人に艶やかな笑みを浮かべると、オルジェは外へ出て行った。
「………」
「焦る気持ちも分からなくはないが、探すなら一人より皆と一緒の方が安全だし効率もいいぞ」
「………」
「おい、どうかしたのか?」
月明かりに浮かぶ彼の横顔があまりにも静かすぎて違和感を感じたリンクは、じっと様子を窺っていた。
「な、何かオルジェさんの様子おかしくありませんか?」
アルグがリンクの隣りに来て、そっと耳打ちする。
普段だったらもっと感情の起伏が激しいはずだし、何より表情も豊かな少年だったはずだ。
それともトレルの悪魔に憑かれた姿に、相当ショックを受けているのか。
とにかく、口数が少ないのが気になった。
彼の肩に飛び乗ろうとリンクが反動をつけた瞬間、
「わっ!!」
突如、手に握りしめていた宝石が眩い光を放ち出す。
「おじさん!!」
ビックリしてアルグが叫んだ。
指の隙間から漏れる青い光は、ますます強さを増していく。
それと共にビリビリとした痛い感覚に我慢できず、リンクはゆっくりと手を開いた。
力の渦が宝石から放たれ、オルジェの体を包み始める。
青い光の中に浮かび上がったオルジェの姿に、リンクもアルグも言葉を失った。
鋭い眼光、薄く笑みを浮かべた唇…そこには少年らしさを残した彼は、どこにもいない。
「オレの力を返して貰おう…」
低い声音。
力の渦に捲かれたオルジェの柔らかな髪が、さわさわと揺らめく。
「これはオレの元へ帰りたがって騒いでいる…」
「ダ、ダメだ!!これはオベロン王へ届けなければいけないんだ」
気丈に答えるも、得体のしれない恐怖にリンクの体は震えた。
オルジェの華奢な手が真っ直ぐに、リンクの持つ宝石へと伸びてくる。
「おじさん、逃げて!!」
けれどリンクは動けなかった。
宝石はオルジェの手へと渡る。
驚いた事に、その手の中で美しく輝きを増した青い石は、歪な形から綺麗な球体へと変化した。
「今までフォーラスから守ってくれた事に感謝する」
言うと、オルジェは『海に眠る雫』を親指と人差し指でつまみ、何の躊躇いもなく口に運ぶとゴクリ飲み込んだ。
「あーっ」
「あぁっ!!」
目の前で起こった信じられない出来事に、リンクとアルグは呆然とする。
そんな二人に艶やかな笑みを浮かべると、オルジェは外へ出て行った。
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