深淵に眠る十字架

ルカ(聖夜月ルカ)

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「いや、わしは…」

「そんな心配げな顔をするな。その体は返して貰うがその代わり、お前にはもっと相応しい器を用意してやっているぞ…」


言うや、アズラエルはフォーラスの手首をグッと掴んだ。


「ひっ!!」

思いの他強い力に抵抗出来ず、フォーラスの喉からは小さな音が漏れる。


「さて、一緒に来て貰おうか」


ニヤリと彼が笑った瞬間、二人の姿はその場からかき消えた…。



 *



 「どうだ、元に戻れた感想は?」

アズラエルは楽しげにトレルに尋ねた。

「やっぱり落ち着くな」

「それだけか?」

「うーん…それに少し汚れた感じもする…」


それを聞いたアズラエルは、ぷっと吹き出した。


「お前は本当に面白い人間だな…普通、こんな時は戻れて良かったって言うんじゃないのか?」

「魂の器を転々としてれば、そう言ってしまうもんだよ」

背伸びをしながら、呑気に答えると、

「だけど本当に助かったよ、ありがとう」

トレルは右手を差し出す。

「礼を言われる覚えはない。お前の話しが面白かったから、約束を実行しただけだ」

「いや、あんたはそれ以上の事をしてくれたからな」

「何の事だ?」

「あいつの事だよ」


トレルは横たわっているインギーの方を見た。


「あの体の持ち主の命を助けてくれたからな」

「ああ…あれか。あれはオマケだ。フォーラスのやつは何かと悪魔の中でも目障りな存在だったからな。あのインギーの中に放り込んでおけば、あいつも本来の体は失っているから共存して生きていくしかない。あの男と一緒に、あの体で生きていくがいいさ。二度と自由に出られないんだからな」


クスクスと笑うと、アズラエルは立ち上がる。


「それじゃあ、今度はこっちの用事に付き合ってもらうか」

「結局お互いの目的はルシファーって事になるからな」


すっかり意気投合した二人は、インギーをその場に残して歩き出した。

 
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