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scene 12
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*
黒狼の姿を変えたエルスールの背に乗って、ルシファーの足取りを追っていたトレルは、
「止まってくれ!!」
彼女に声を掛けた。
「どうした、トレル?」
難しい顔をして地面に降り立った彼は、辺りを見回す。
そこは森の中。
スィーク・レノからだいぶ離れた地、だった。
「トレル」
返事すら返そうとしないトレルに、業を煮やしたのかエルスールは本来の姿に戻る。
「トレル!!」
きつく名を呼ばれ、彼はハッと我に返ったようだった。
慌てて彼女の方に振り向く。
「あ、あぁ…何だ?」
「何だではない。どうしたんだ、と聞いてるんだ」
「エルスール、ちゃんとルシファーの後を追っているんだよな?」
その質問に、彼女は少々ムッとした顔をした。
「やつのニオイを追って来たんだ。私の嗅覚を疑うのか…」
「あ、いや。そんなつもりじゃないんだ」
「だったら何だ、ハッキリ言え」
「今、通ってきた道は、俺たちがスィーク・レノへ向かう時に使った道とは違う。だが俺の勘が間違っていなければ、これはユフィルの方に向かっている気がしているんだが…」
言われてみれば、ここから見える太陽の方角から場所を推測することができる。
確かに、トレルの言うとおりかもしれない。
「なぜルシファーのニオイが向こうへ…ユフィルの方へ続いていると思う?」
「さぁ、なぜだろうな…」
皆目見当もつかない、エルスールが呟いた。
「まさかとは思うが、やつはイアンの元へ行ったんじゃないだろうか」
「イアンの…?なぜ悪魔がわざわざ教会に行かねばならない」
「覚醒の妨げになるペンダントを外してもらう為…」
「な、なんだって!?」
「可能性がない事もない。とにかく、気になる。先を急ごう」
「あぁ」
再び、黒狼に姿を変えたエルスールの背にトレルが乗ろうとした。
その時。
前方から駆けてくる馬の姿が見えた。
「白い…馬…」
見覚えのあるそれは、段々と二人のいる方へと近づいてくる。
横まで来ると、嘶きと共に馬の足が止まった。
「!!」
その背に乗っている人物を見て、彼は自分の目を疑う。
「イ、イアン牧師…?」
それは絶対にあり得ない事…トレルが見たのは、若かりし頃の姿のイアンだった。
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「止まってくれ!!」
彼女に声を掛けた。
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そこは森の中。
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「トレル」
返事すら返そうとしないトレルに、業を煮やしたのかエルスールは本来の姿に戻る。
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「今、通ってきた道は、俺たちがスィーク・レノへ向かう時に使った道とは違う。だが俺の勘が間違っていなければ、これはユフィルの方に向かっている気がしているんだが…」
言われてみれば、ここから見える太陽の方角から場所を推測することができる。
確かに、トレルの言うとおりかもしれない。
「なぜルシファーのニオイが向こうへ…ユフィルの方へ続いていると思う?」
「さぁ、なぜだろうな…」
皆目見当もつかない、エルスールが呟いた。
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「覚醒の妨げになるペンダントを外してもらう為…」
「な、なんだって!?」
「可能性がない事もない。とにかく、気になる。先を急ごう」
「あぁ」
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「白い…馬…」
見覚えのあるそれは、段々と二人のいる方へと近づいてくる。
横まで来ると、嘶きと共に馬の足が止まった。
「!!」
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「イ、イアン牧師…?」
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