魔法使いの沼地

ルカ(聖夜月ルカ)

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魔法使いの沼地

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(やっぱり、同じだ…
僕の姿は化け物に見えてるんだ…でも、昨夜はなんともなかったのに、なぜ…)

人気のない森の中で、リオは懸命に考えた。
皆が、自分に対しておかしな反応を示す時とごく普通に接してくれる時のことを…
そして、ようやく、リオはふとあることに気が付いた。



(そうだ…
皆が、僕のことを恐れないのは夜だ。
もしかしたら、この呪いのようなものは夜にはその効力が現れないのかもしれない…!)

リオは、思い浮かんだその推測に心を震わせる。
一刻も早くそのことを確かめたかったが、それを確かめるにはまだ時間が早過ぎる。
昨夜、一睡もしていなかったこともあり、リオはしばらくその場で仮眠することを決めこんだ。







「あ、あんた…どうしたんだ!?
突然姿を消したから心配してたんだぞ。」

リオが店に入るなり、店主の声が飛んだ。



(やっぱりだ…この時間の僕は普通に見えてるんだ!)

リオは、自分の推測が正しかったことに弾む感情を押し殺し、至って冷静に答える。



「すみません…
昨日はあんなにお世話になったのに、勝手なことをして…」

「いや、今朝はちょっとした事件があったから心配してただけなんだ。」

それがどんな事件であるのかは、リオにとっては聞くまでもないことだった。



「……実は、僕もそのことでここを逃げ出したのです。」

「じゃあ、あんたも見たのか!
爺さんが見たっていう死神の姿を…!!」

「ええ…僕はちょうど外へ出ていたのですが、あまりの恐ろしさにお爺さんを見捨てて逃げ出してしまい、そのまま森の中に隠れていたんです。
それで、申し訳なくてなかなか出て来れなくて…」

そんな作り話が自分の口からすらすらと出て来ることに驚きと不快感を感じ、リオはそっと俯いた。



「そうだったのか…
そりゃあまぁ死神なんておぞましいもんを見たんじゃ、仕方ないことだ。
幸い、爺さんは無事だった。
あ…そういえば、爺さんが死神が店の中から茶色いバッグを持って逃げて行ったとか言ってたが…」

そう言いながら店主は、リオの脇に置かれたバッグを見る。



「え……ええ…死神は逃げる途中で僕のバッグを落として行ったんで、この通り、無事でした!
……まぁ、大切なものはほとんど入ってないんですけど、なんでこんなもんを持って行ったんでしょうね…?」

そう言ってリオはどこかおどけた様子でバッグを持ち上げて見せた。
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