魔法使いの沼地

ルカ(聖夜月ルカ)

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魔法使いの沼地

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「ごちそうさまでした。
とても美味しかったです!
本当にありがとうございました!」

「そうか、そうか。
そりゃあ、良かった。」

男は、リオの言葉に嬉しそうに微笑んだ。

客がいなくなった店内で、二人は他愛のない話を交わす。
リオは特に詳しいことは話すことなく、妹のことでお世話になった神父を訪ねる途中だとだけ話した。
店主はリオが金を持っていない事を案じ、家に泊まるようにと誘ったが、リオはそれを断り、店の方に泊まらせてもらうこととなった。
リオが店主の好意を断ったのは、もちろん、いつ、自分の姿が化け物のように見えるかもしれないという心配からだった。



(世の中には親切な人がいるもんだな…)

せめてものお礼にと、リオは店主が帰宅した後、店内の清掃に打ちこんだ。
店内を隅から隅まで綺麗にし、こげついた鍋をピカピカに磨き上げた頃には、リオの顔は火照り汗が噴き出していた。



(こんなに一生懸命掃除したのは久し振りだな…
……あ…もう夜が明けかかってるじゃないか…
驚いたな、こんなに時間が経ってたなんて…)

リオは、明るくなりかかっていた外の風景に呆然と目を向ける。
額の汗を拭い冷たい水を一杯飲み干すと、朝日に誘われるようにリオは店の外へ出た。
ひんやりとした朝の空気が、とても気持ち良い。
山の間から顔をのぞかせた太陽に向かい大きく伸びをしていた時…不意に老人のかすれた声がリオの耳に届いた。



「し…死神…
死神じゃ~!!」

老人は驚きのあまり腰を抜かし、その場に尻餅を着く格好で倒れこみ、苦痛に顔を歪めた。



「おじいさん!大丈夫ですか!?」

「よ、寄るな!死神め!
わしはまだ死なん!死なんぞ!
だ、誰か、来てくれーーーー!!」

老人はその場に座りこんだまま、リオを見たくないかのように固く目を閉じ、ありったけの声を張り上げた。



(まずい…!)

リオは、店の中に入り自分の荷物を持ち出すと、一目散に走り出した。
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