魔法使いの沼地

ルカ(聖夜月ルカ)

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魔法使いの沼地

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しばらくすると、ラルフが戻った。



「今日はチキンを持って来てくれたよ。」

ラルフは、そう言いながら、前足で気持ち良さそうに顔を洗う。



「チ…チキンって…」

リオは、ちらりとレヴィの方を見やったが、当のレヴィはそんなことは少しも意に介してはいなかった。



「大丈夫だって。
こいつは、人間の言葉はわからないんだ。」

「そ…そうなの…」

「ところで、おまえは何か食べたのか?」

「いや、僕は……」

「そうか……食べたくないなら食べなきゃ良い。
腹が減りゃあ、食べれば良いさ。」

「……そうだね。」

「人間って奴は、どうも余計なことを考え過ぎだ。
時には、俺達を見習って、自然に過ごした方が良い場合もあるってことさ。」

ラルフはそう言って大きな口を開けて欠伸をし、その場に丸くなる。



(そうだね……
君の言う通りかもしれないね…
自然のままに流されて、ありのままを受け入れて…
それが一番なのかもしれないね…)

ラルフのなめらかな毛並みをなでながら、リオは心の中で呟いた。







「ねぇ、ラルフ…
君はどうしてこの沼地を出ないの?」

昼近くになって、ようやく目を覚ましたラルフにリオが尋ねる。



「どうしてって…
そうだな、まぁ、第一にはここにいたらこいつが安全だからだ。
ここには天敵がいないからな。
第二に、これと言って行きたい場所がない。」

「……そっか……」

「……おまえ、魔法使いを探しに行きたいのか?」

「えっ!?い…いや、別にそういうわけじゃ…」

リオは慌てて首を振る。



「そりゃあ、そのままじゃ厄介だよな。
ここで魔法使いを待つっていうのも出来ないことはないが、いつどこに現れるかはわからないから、ここにいたって会えるかどうかはわからない。
かといって、探しに行っても会えるってわけじゃないよな。
だけど……」

不意にラルフの言葉が途切れた。



「だけど、何?」

「……いや、ここにずっといるよりは旅に出た方が楽しいだろうと思ってな。
おまえが一緒にいてくれるんなら、こいつもめったなことにはならないだろうし……」

「そ、それじゃあ、僕と一緒に来てくれるの!?」

「俺は別に構わないけどな……」

その時、レヴィが歌を歌い始めた。
それは、心の躍るようなどこか不思議な歌声だった。



「ラルフ!レヴィ、一緒に行こう!
外の世界はきっと楽しいものに満ち溢れているよ!」

自分の口をついて出た言葉に、リオ自身、少し驚きながらも、その心は希望と期待に膨らんでいた。
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