魔法使いの沼地

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
49 / 135
魔法使いの沼地

34

しおりを挟む




「う~ん……」

リオは自らが書いた紙切れを見ながら、低い唸り声を発した。



「名前 シューラルフィール
年齢不詳
性別 女性
容姿はけっこう良いらしい
社交的
ダーニアスという好きな男性がいる
職業は、呪文、法具、薬の作成と販売
なんだかわからない不思議な香りがする」



「……ねぇ、ラルフ……
本当にこれだけなの?」

リオはすがるような視線をラルフに向ける。



「そうさ。
俺がシューラルフィールを見たのは、ほんの数回なんだから。
あとは、シューラルフィールを訪ねて来た魔法使い…だと思うんだが、そいつらの話から知ったことなんだ。
それもわざわざ尋ねたわけじゃなく、たまたま耳にしたことなんだから、これだけでもまだ良い方だと思うぜ。」

「でも、ラルフ……
たった、これだけの手掛かりでどうやってシューラルフィールを探せば良いの?」

リオは紙切れをみつめたまま、か細い声で尋ねた。



「そんなこと知るかよ。
でも、この世界にはたくさんの…か、どうかはわからないが、魔法使いがいるんだから、そういう奴らに話を聞けば、いつかシューラルフィールの所に辿り着けるんじゃないか?」

「なるほど…!
それもそうだね!
あ、そうだ!それと、不思議な香りって…どんなの?
香水なのかな?何かのにおいに似てるとかないの?」

「それがなぁ…今までに嗅いだことのないにおいなんだ。
香水っていうよりは、薬草か何かじゃないかなぁ…とは思うんだ。
かといって青臭いってわけじゃないんだけど、普通の人間のよくつけてる香水とは全く違う。
なんだかとにかく不思議なにおいで、例えるものが思いあたらないんだ。」

ラルフの説明では、リオにはその香りが何なのかまるで見当が付かなかった。
そうでなくとも、香水や薬草にもほとんど無知なリオにはわかるはずもない。



「でも、そのにおいを嗅ぐとわかるよね?
魔法使いとそのにおいに注意しながら探していけば、きっとシューラルフィールはみつかるよね!」

「そういうことだな!」









だが、現実にはそう簡単にはいかなかった。
旅に出てからの三年というもの、リオはまだただの一人の魔法使いにも、そして、そのにおいにもめぐりあえないでいた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

思いを込めてあなたに贈る

あんど もあ
ファンタジー
ファナの母が亡くなった二ヶ月後に、父は新しい妻とその妻との間に生まれた赤ん坊を家に連れて来た。義母は、お前はもうこの家の後継者では無いと母から受け継いだ家宝のネックレスを奪うが、そのネックレスは……。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

あなたが決めたことよ

アーエル
恋愛
その日は私の誕生日パーティーの三日前のことでした。 前触れもなく「婚約の話は無かったことにしよう」と言われたのです。 ‪✰他社でも公開

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

処理中です...