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歌の好きな王様
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「では、次の者…これへ!」
「はっ!」
この日、王宮はこれまでにないほど、賑わっていた。
国中から、のど自慢の男たちが集っているのだ。
そもそもの事の発端は、現国王の御触れだ。
子供のいない国王は、病気になったことをきっかけに、思いがけない御触れを出したのだ。
『この国で一番歌のうまい者を次期国王に任ずる』
それを見て、国内のあちらこちらから男たちが名乗りを上げた。
今日は、朝早くからその審査が行われている。
当然、国王も玉座の上から、審査に加わっていた。
国王は、子供の頃から歌が大好きだった。
何かといえば、歌い手を城に招き、その美しい歌声に聞き惚れた。
そのうち、国王は自分でも歌ってみたくなったが、国王の声はかすれてざらざらしたもので、学士たちに歌を習っても音や調子をはずしてばかり。
少しもうまくなることはなかった。
そんな劣等感から、国王はそのような突拍子もない御触れを出してしまったのだ。
集まった男たちは、皆、それなりに歌のうまい者ばかりだったが、残念ながら、国王の心を揺さぶるような者はいなかった。
ついに、最後の者が歌い終わり、次期国王にと思える者がいなかったことに国王は頭を抱えた。
「王様…いかがなさいますか?」
「……仕方がない。またしばらくして…」
「お願いします!」
突然響いた声は、澄み切った女性の声だった。
「……そなたは……!」
国王は、その女性に見覚えがあった。
一時期、国王がとても気に入って傍に置いていた歌姫・カテリーナだった。
「残念ながら、参加出来るのは男だけだ。」
大臣が女性に向かってそう言った。
「はい、参加させたいのは私の息子・ハミルでございます。」
そこに現れたのは、華奢な体格の少年だった。
「では、歌いなさい。」
「……はい。」
少年は歌い始めた。
しかし、その声はかずれてざらざらとしたもので、音程も調子もはずれてばかりだった。
審査についていた臣下たちは、その酷い歌声に言葉をなくした。
「……もう良い。」
国王のその言葉で、ハミルの耳障りな歌は終わり、臣下たちもほっと胸を撫でおろした。
「……ハミルを次期国王とする。」
「え?陛下、今、なんと!?」
「ハミルを次期国王とすると申したのだ。」
「な、なんですと!?」
臣下たちは、国王がなぜハミルを選んだのかわからず混乱した。
国王は、カテリーナに向かい、ただ小さく頷いた。
カテリーナは、目にいっぱいの涙をため、同じように頷いた。
「はっ!」
この日、王宮はこれまでにないほど、賑わっていた。
国中から、のど自慢の男たちが集っているのだ。
そもそもの事の発端は、現国王の御触れだ。
子供のいない国王は、病気になったことをきっかけに、思いがけない御触れを出したのだ。
『この国で一番歌のうまい者を次期国王に任ずる』
それを見て、国内のあちらこちらから男たちが名乗りを上げた。
今日は、朝早くからその審査が行われている。
当然、国王も玉座の上から、審査に加わっていた。
国王は、子供の頃から歌が大好きだった。
何かといえば、歌い手を城に招き、その美しい歌声に聞き惚れた。
そのうち、国王は自分でも歌ってみたくなったが、国王の声はかすれてざらざらしたもので、学士たちに歌を習っても音や調子をはずしてばかり。
少しもうまくなることはなかった。
そんな劣等感から、国王はそのような突拍子もない御触れを出してしまったのだ。
集まった男たちは、皆、それなりに歌のうまい者ばかりだったが、残念ながら、国王の心を揺さぶるような者はいなかった。
ついに、最後の者が歌い終わり、次期国王にと思える者がいなかったことに国王は頭を抱えた。
「王様…いかがなさいますか?」
「……仕方がない。またしばらくして…」
「お願いします!」
突然響いた声は、澄み切った女性の声だった。
「……そなたは……!」
国王は、その女性に見覚えがあった。
一時期、国王がとても気に入って傍に置いていた歌姫・カテリーナだった。
「残念ながら、参加出来るのは男だけだ。」
大臣が女性に向かってそう言った。
「はい、参加させたいのは私の息子・ハミルでございます。」
そこに現れたのは、華奢な体格の少年だった。
「では、歌いなさい。」
「……はい。」
少年は歌い始めた。
しかし、その声はかずれてざらざらとしたもので、音程も調子もはずれてばかりだった。
審査についていた臣下たちは、その酷い歌声に言葉をなくした。
「……もう良い。」
国王のその言葉で、ハミルの耳障りな歌は終わり、臣下たちもほっと胸を撫でおろした。
「……ハミルを次期国王とする。」
「え?陛下、今、なんと!?」
「ハミルを次期国王とすると申したのだ。」
「な、なんですと!?」
臣下たちは、国王がなぜハミルを選んだのかわからず混乱した。
国王は、カテリーナに向かい、ただ小さく頷いた。
カテリーナは、目にいっぱいの涙をため、同じように頷いた。
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