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鬼は外!
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(お、おい…まだかよ…)
上半身裸で、トラ柄のパンツのみ身に付けて…いや、変態じゃないぞ。
鬼のつもりだ。
頭には、角も付けてある。
そんないで立ちで、俺は、ベランダの物陰に潜んでいた。
空からは白いものがちらちら降っていて…
そりゃあ、もう、寒いのなんのって。
今日は節分。
だから、彼女に内緒でサプライズを仕掛けるつもりだった。
彼女が帰って来たら、ベランダから部屋の中に入って、びっくりさせる計画だったんだ。
なのに、彼女はいつもの帰宅時間になっても帰って来ない。
かれこれもう一時間以上、こうして俺は待っている。
寒過ぎて、歯の根ががたがたと言い出した頃…ようやく、彼女が帰って来た。
「が、がおーーー!」
冷えすぎて、体も動きにくいし、口もうまく回らない。
彼女は、一瞬、目を丸くしたが、すぐにけらけらと笑い始めた。
「ちょっと待ってね。」
彼女はスーパーの袋に手を突っ込み、豆を取り出した。
「鬼は~外!」
彼女は遠慮なしに豆をぶつけ、痛がる俺を見て、さらにけらけら笑ってる。
「がおーーー!」
「鬼は~外!」
冷え切った体を無理に動かし、俺は懸命に鬼を演じた。
甘いじゃれ合いではあるが、かなり必死だ。
*
「はーーー…さ、寒い……」
くしゃみが止まらず、鼻水が垂れる。
今日のイベントは無事に終了したが、冷え切った俺の体は、なかなか回復しなかった。
「はい、これ飲んで。」
彼女は、俺の前に湯飲みを置いた。
「……これ……」
「温まるから。」
「……うん。」
俺は素直にそれを飲んだ。
あ…ずっと昔に飲んだことがある。
「……甘酒?」
「そう…飲む点滴。」
子供みたいに無邪気な彼女は、意外なことに料理が得意だ。
それも彼女に惚れた大きな一因。
一口すするごとに、冷え切った体がじんわりとほぐれていく。
これは甘酒のせいだけじゃないな。
きっと、彼女の愛情がこもってるせいだ。
なぁ~んて、柄にもなく甘いことを考えてしまう俺だった。
上半身裸で、トラ柄のパンツのみ身に付けて…いや、変態じゃないぞ。
鬼のつもりだ。
頭には、角も付けてある。
そんないで立ちで、俺は、ベランダの物陰に潜んでいた。
空からは白いものがちらちら降っていて…
そりゃあ、もう、寒いのなんのって。
今日は節分。
だから、彼女に内緒でサプライズを仕掛けるつもりだった。
彼女が帰って来たら、ベランダから部屋の中に入って、びっくりさせる計画だったんだ。
なのに、彼女はいつもの帰宅時間になっても帰って来ない。
かれこれもう一時間以上、こうして俺は待っている。
寒過ぎて、歯の根ががたがたと言い出した頃…ようやく、彼女が帰って来た。
「が、がおーーー!」
冷えすぎて、体も動きにくいし、口もうまく回らない。
彼女は、一瞬、目を丸くしたが、すぐにけらけらと笑い始めた。
「ちょっと待ってね。」
彼女はスーパーの袋に手を突っ込み、豆を取り出した。
「鬼は~外!」
彼女は遠慮なしに豆をぶつけ、痛がる俺を見て、さらにけらけら笑ってる。
「がおーーー!」
「鬼は~外!」
冷え切った体を無理に動かし、俺は懸命に鬼を演じた。
甘いじゃれ合いではあるが、かなり必死だ。
*
「はーーー…さ、寒い……」
くしゃみが止まらず、鼻水が垂れる。
今日のイベントは無事に終了したが、冷え切った俺の体は、なかなか回復しなかった。
「はい、これ飲んで。」
彼女は、俺の前に湯飲みを置いた。
「……これ……」
「温まるから。」
「……うん。」
俺は素直にそれを飲んだ。
あ…ずっと昔に飲んだことがある。
「……甘酒?」
「そう…飲む点滴。」
子供みたいに無邪気な彼女は、意外なことに料理が得意だ。
それも彼女に惚れた大きな一因。
一口すするごとに、冷え切った体がじんわりとほぐれていく。
これは甘酒のせいだけじゃないな。
きっと、彼女の愛情がこもってるせいだ。
なぁ~んて、柄にもなく甘いことを考えてしまう俺だった。
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