１ページ劇場③

月に願いを

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（うわぁ、綺麗……）



みんなが寝静まった深夜遅く、私はそっと起き出して…
ちょっと肌寒い空気の中、ベランダで空を見上げる…
そこには、丸いお月様。
 平成最後の満月だ。



 月を見上げたのなんて、多分、子供の頃のお月見以来のことかもしれない。
あらためて見てみると、確かに月って綺麗なもんだよね。
でも…おかしいな。
 今日は確か、『ピンクムーン』って聞いたのに、その満月は普通に黄色っぽい色をしている。



 （なんでだろ！？）



 心配になった私はスマホで検索した。



 （……なんだ、そういうことか…）



ピンクムーンっていうのは、ピンクの月っていうわけじゃなくて、花が咲き誇る春がピンクというイメージだから、その春の満月ということでピンクムーンって呼ばれるらしい。



 （ま、なんでもいいや。）



 私は、満月を見上げて微笑む。
 『ピンクムーンを見ると恋愛運が上がる』
 私は、この言い伝えに賭けた。
なんたって、今年が最後のチャンスなんだもの。



 先輩は、今年高校を卒業する。
だから、なんとしても卒業までに告白したい。



 今までにも何度も告白しようと思ったけれど、どうしても勇気が出なかった。
でも、今年こそは…！



 （どうか、寺田先輩とラブラブになれますように。）



 平成最後のピンクムーンに、私は熱い想いを込めた。