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料亭には、まるで私たちのためみたいな雰囲気の良い庭があった。
 多分、ここはお見合いスポットなんだろうね。
お見合いする二人が落ち着いて話せるように、考えて作られているようだ。



なぁ~んて、余裕があるみたいだけれど、そうじゃない。
すぐ隣にいる柊司さんからなんとか気を逸らそうと、そんなことを考えてみただけ。
 実際は、緊張し過ぎて死にそうになっていた。



 「……疲れたでしょ?」

 「え?い、いえ…そんなことはありません。」

 柊司さんの顔が見たいけど、恥ずかしくて見られない。
だから、私は俯いたままそう答えた。



 「あそこに座ろうか?」

 「はい。」

どこだか確認はしなかったけど、はいはい、どこでも座りますよ。
 柊司さんが向かったのは、池の傍にある東屋だった。
 柊司さんが腰を下ろした所から微妙にスペースを空けて座った。



 「……それで…どうするつもり?」

 「え?」

 唐突な質問に、私は反射的に顔を上げた。
 私の目の前に、柊司さんの綺麗な顔が…
あぁ…なんて美しい!
 完璧だ!
もしかしたら、ソジュンを越えたかもしれない。
 私は、今まで感じたことのないほどの幸せを感じた。
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