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それからも、相変わらず平日は暇だったけど、土日は友達と会ったり、柊司さんと遊びに行って、楽しい時を過ごした。



 「芹香…なんか、遠い存在になったね。」

 「え?どういうこと?」

 美沙の言葉に、私は小首を傾げた。



 「なんていうのかなぁ…あんた、変わったよ。
 上品になったし、見た目もお金持ちっぽくなった。
……ねぇ、そのバッグ、ずいぶん高いんでしょ?」

 「あ、これは柊司さんが買ってくれたやつだから、値段はよくわからないけど…
なんかね、手作りなんだって。
イタリヤで買ってくれたんだ。」

 「もう~!そんなのが安物のわけないじゃん。
あ~あ…本当にあんたが羨ましい。
なんで、あんな超イケメンでセレブな人と結婚出来るの!?
 私達、年も同じだし、イケメン仲間として一緒に行きそびれるつもりだったのにぃ…」

ちょっとお酒を飲んだせいか、美沙は本音をズバッとぶつけてくる。



 「そ、そうだよね…
私も自分のことながら、なんかびっくりしてるよ。」

 「あんたが旦那を好きになるのは当然だけど、なんであの旦那はあんたのことを好きになったんだろ?
 私もあんたも見た目はそう変わらない。
せいぜい中の上あたりだよね?
 性格だって、私はそんなに悪くないよね?
ま、あんたも悪い奴じゃあないけど。
だったら、私が選ばれても良いんじゃない?
ねぇ、どうして、あんたが選ばれるのよ~!」

ワイン2杯しか飲んでないのに、美沙はけっこう酔ってるみたい。
もしくは、それほど私に対して鬱憤が溜まってたの?

 
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