上 下
82 / 218

82

しおりを挟む
「私、お腹は……」

 『減ってない』と言おうとしたら、お腹が鳴った。
 最悪のタイミングだ。



 「ほら…お腹の虫は正直だよ。
 何か食べて。」

 「は、はい。
あ、おかゆでも作りましょうか?」

 「いや、今はとても食べられそうにない。
お腹がすいたら食べるよ。
だから、君はとりあえず何か食べて来て。」

 「……はい。」

 私が食べなかったら、きっと柊司さんは気にするだろうから、とりあえず、何か食べることにした。



 (あ、そうだ!)



パントリーに非常用のレトルトとかカップ麺がある。
 三田さんはそういうものは嫌いみたいだけど、いざという時のために置いてあるのを私は知っている。
 食材はいろいろとあるけど、何かを作るっていうのも面倒だから、今日のところはレトルトのごはんとカレーにしておこう。
パントリーには、おかゆもあった。
 柊司さんが食べられるようになったら、それを温めてあげたら良いよね。



キッチンにはめったに入らないから、ちょっと緊張する。
って、カレーを温めるだけなんだけど、汚さないようにしないとね。
コンロも流しも鍋も、新品みたいにピカピカだからね。

 
しおりを挟む

処理中です...