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「柊司さん!」

 「おはよう。迎えに来たよ。」

 柊司さんは、何事もなかったかのように爽やかに微笑む。



 思わず微笑みそうになるのをぐっと押さえた。
 昨日はとても悲しい想いをしたんだから…
とっても傷付いたんだから…
その上、紗香にもいろんなこと言われて…



でも、まぁ、悪いのは私なのかもしれないけど…



「と、とにかく、どうぞ中へ…」

 柊司さんを家に上げたって言ったら、きっとお母さん、怒るだろうなぁ…
でも、今から大掃除は出来ないから。



 柊司さんは散らかった居間のソファに座り、私は、インスタントのコーヒーを淹れた。



 「なんか、雰囲気変わったね。」

この間柊司さんが来た時は、数日前からみんなで必死になって片付けたからね。
その状態は、一週間もキープ出来なかったよ。



 「ご家族は、仕事に行かれたのかな?」

 「はい、そうです。
お父さんは、休みのはずですがどこかに行ってしまってて…」

 「そうなんだ。
……朝ごはんは食べた?」

 「はい。」

 「じゃあ、帰ろうか?
それとも、どこか遊びに行く?」

なんで昨日のことを訊かないんだろう?
どうでも良いの?
でも、それならどうしてわざわざ迎えに来たんだろう?
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