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「あった!」



 声をあげたのは八重樫さんだった。



 「どこにあったの?」

 「そこの棚の奥。」

 「えっ!?そこ、さっき見たのになぁ…」

 「シュウは探し方が、甘いんだよ。」

 「えー…そうかなぁ?」

 柊司さんは照れくさそうに微笑む。



なんだろ…
二人のそんなやりとりは、妙に甘い。
 見てるのがなんだか恥ずかしくなって来る。



 八重樫さんのおかげで、花束は無事に活けることが出来た。
とても綺麗な花…
いつも、三田さんがリビングに活けてくれてるけど、やっぱり雰囲気が違う。
 三田さんのはとても品が良いけどやや地味な感じで、それに対して、八重樫さんのお花は華やかで豪快な感じがする。



 「あ、もうこんな時間…
じゃあ、俺、料理に取り掛かるわ。」

 「え……」

まだ来たばかりなのに…
それに、すぐに花瓶探しをし始めてゆっくりもしてないのに良いのかな?
でも、そんなことを考えてるうちに、八重樫さんはもうキッチンに入っていた。
 腰には、黒いエプロンをかけて…
なんか、どこかのカリスマシェフみたいで、格好良い!


 「少しゆっくりされてからで良いんじゃないですか?」って言いたかったんだけど、すっかり言いそびれた。
 仕方ない。
 料理が出来上がるまで、私には何もすることはないから待つしかないね。
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