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「そうだね。
 彼女はニューヨークに行ってるし、会ってない期間がかなり長かったからね。」

 柊司さんは、白々しくそんなことを口にした。
 私のイライラはさらに大きくなる。



 「彼女さんはなんでニューヨークに?」

 「慶子さんは、メイクアップアーティストを目指してるんだよ。
 本場のメイクアップ技術やらセンスを磨くために、単身、ニューヨークに渡ったんだ。」

 何!?名前やらその人の夢も設定済みなの?
その抜け目ない周到さに、また腹が立った。



 「そ、そうなんですか。
 慶子さんって、どんな感じの人なんですか?」

 私は半ば意地になって、質問を重ねた。



 「そうだね、すごく洗練された感じの人だね。
 背も高いし、スレンダーで…芸能人で言うと…あ、そうそう、岡添君をもっとストイックにしたようなタイプかな。」

 柊司さんは言い淀むことなく、すらすらと答えた。
もしかして、この人、すごい嘘吐きなんだろうか?
 私は失望に似た気持ちを感じていた。
すっかり嫌な気分になって、次の言葉が出て来ない。



 「あ、そうだ。」

 柊司さんは、テーブルのスマホを持ち、何かの操作をしていた。
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