上 下
198 / 218

198

しおりを挟む




それから数日は、またとっても辛い日々が続いた。
 朝、出勤の時もすっごく辛かった。
 柊司さんはほとんど話さないし、なんとも言えない嫌な雰囲気。
そのせいで、帰りは山下さん達と食事をして帰るようにした。
 行きも帰りもそんな状況じゃ、私だって耐えられないから。



そんな日々が続いたある日のこと…



「芹香さん、帰りにちょっと時間あるかな?」

 「え?は、はい、大丈夫です。」



お昼休みに声をかけて来たのは、意外にも八重樫さん。
 一体、何の用事なんだろう?
もしかして、柊司さんが直接私に話したくなくて、八重樫さんを使った?
でも、それならその場で言いそうだけど…



仕事が終わってから、私は八重樫さんに言われた近くの公園で彼を待った。



 「あ、待たせたかな?」

 「いえ、私もついさっき来たところです。」

 私が着いて、10分もしないうちに八重樫さんは駆けて来た。



 「じゃあ、行きましょうか。」

 「え?」

 八重樫さんは、手を挙げてタクシーを停め、私はどこに行くともわからないまま、八重樫さんに連れて行かれた。

 
しおりを挟む

処理中です...